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忍である事(アスイル)
by みづほ  
R指定:---
キーワード:アスイル
あらすじ:怪我を負ったイルカとそれを包み込むアスマ。
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「殺ったか?」

 アスマは肩で息をするイルカの背中に声をかける。

「…すみません、手応えはあったのですが」
「珍しいな、取り逃がしたか?こっちはあらかた片付いたぜ?」
 アスマは言いながらイルカに近づく。

 しかし。

「…お前」
 右目をざっくり切られているイルカにアスマは一瞬、言葉を無くす。
「すみません、最後の確認が出来なくて…」
「それはいい、手応えはあったんだろ?」
 謝るイルカの傷口に素早く処置を施しながら、アスマはイルカの左目を覗き込む。
「左目が見えないのは、恐らく敵の術にかかっているからだろう。医療班か、最悪五代目なら何とかしてくれるだろうよ。それよりも右目からの出血がひどいな」
 包帯に滲む血液に眉間を寄せながら、術にかかり焦点の合わないイルカの左目を、アスマはそっと手で閉じる。

「アスマ先生…」

 不安を隠しながら呟くイルカへ、アスマは優しく穏やかに、そして冷静に言葉を紡ぐ。

「右目はあきらめろ。その代わり、片目でも忍がこなせるよう、俺が仕込んでやる」

 アスマはイルカを抱き上げると、イルカの閉じられた左目に口づけ、焦る気持ちを抑えながら帰還を急いだ。






2007/01/18
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