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奇跡
by サヨリ  
R指定:無し
キーワード:デル戦 ウォル×リィ
あらすじ:もう一度、君に逢えるならこの『奇跡』に感謝しよう。
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『……リィ』



「っ…」


聞き覚えのある、優しい豊かな声にリィは顔を上げた。

「どうかした?エディ」


隣で並んで歩いていた相棒が、不思議そうに歩みを止めて空を見上げるリィの横顔を見つめる。

リィは、何も見えない筈の空を見上げたまま、緩やかに微笑んで相棒に答えた。


「あいつの声が聞こえたんだ。………多分、きっと」

「そっか…」


リィの相棒である彼は、そんな―――『彼』に、あの世界での『彼女と彼』を見た。

腰までゆるやかに流れる輝く黄金と、宝石のように煌めくエメラルドの瞳をもつ『王妃』である彼女の隣に、当たり前のように並ぶ威風堂々とした、黒髪の、陽だまりのような『王』の姿が…………。


「…………あいつは、俺が初めて、ある意味『愛情』を抱いた人間なのかもな。」

「……そうだね。」



――――青い、青い、この空は、あの世界の青と繋がっていますか?


『また会おうな』
『…………』
『必ずだ。また会おう。俺はそう信じている』


リィは、『幻』ではあったが『王妃』として、あるいは大切な友人として。

『彼』は戦場の最中、馬上ではあったが『王』として、あるいは大切な友人として、二人は…………。


『恋』でも『愛』でもない、男女の愛情とは掛け離れたものではあるが、その時、確かに二人は『夫婦』であり『同盟者』であり、『友人』だった。



―――また、会おう。


……ウォル。




リィは広くなった肩幅と伸びた背、短くなった金髪と、変わらないエメラルドの瞳を輝かせ、隣に並ぶ相棒であるルウに微笑んだ。


「さあ、あいつに会いに行くか」



この青い空の下で再会をしよう。
―――あの時、言葉にして返事が出来なかった約束を胸に。












「…っ。」

「…ただいま、ウォル。」
「………………………………遅いぞ、リィ。」


―――約束は果たされる。


2009/05/24
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