返信する

和生(オリ主と万事屋)
by 朝飛  
R指定:---
キーワード:銀魂 オリジナル主人公目線
あらすじ:和生とは和菓子のこと。主人公は万事屋に和生を差し入れに来ただけなのに…?   注)ラブ要素無し。
▼一番下へ飛ぶ




「何それ、差し入れ?甘いモンなの?」



いつもは気だるい男の珍しく弾んだ声が万事屋に響いた。


男の名前は坂田銀時。


いつもは死んだ魚のような目をしたコイツも、甘い物と知ると瞳を輝かせている。


その様子は子供みたいで、包みを手にした私は思わず笑ってしまう。


私は下のスナックお登勢で働く従業員。お登勢さんに言付かって万事屋の皆に和生の差し入れに来たのだ。


「銀さん!!昨日パフェ食べたじゃないですか!!」


「週一度しかダメヨ」


新八と神楽が私から包みを受けとると、包みを銀時から隠すように背中に回す。


「心配いらないですよ」


「銀ちゃんの分、キチンと残しといておくネ」


二人は包みを隠しながらも銀時に笑顔を見せる。


「アレだかんな。食べちゃったーVvてへ♪とか無しだかんな」


「…………フッ」


「Σ今笑ったよな?明らかにバカにした笑いだったよな!!?」


神楽相手に大人気ない銀時に苦笑しながら私は声をかける。


『銀さん、大丈夫!!和生だけど日持ちはするから』


来週でも賞味期限は大丈夫だろう。


銀さんを慰めるつもりでそう言ったのだが、銀さんは無言で私を怪訝そうに見たあと、爆笑した。


「和生だって!!婆くさっ!!!!」


涙をうっすらと浮かべて、銀時は笑い続ける。


「銀さん………」


「あーあー。知らないアル」


新八と神楽はそっと包みを抱えたまま、外へと出ていく。


「和生って言われてわかんないヤツ、いっぱいいるぞ!!」


『……でもアンタはわかっただろうが?』


「へ?」


いつにも増して低い私の声。


抑えようにも限界に達し、私の声は震えていた。


「え…?ちょっと待っ……」


異変を感じとった銀時は顔を引きつらせる。




ガラガラガッシャーンッ!!!!


物の割れる音や激しい音が外に出た新八と神楽の耳に届く。


「ああ…。銀さんご愁傷さまです……」


そっと手をあわせる新八の横、饅頭を両手に持ちながら口に詰め込む神楽の姿があった。


「うわぁぁぁ!!!!何食べちゃってんの!?って銀さんの分ほとんど残ってないじゃない!!!!」


「新八、美味いのが罪アル」


饅頭を堪能し、神楽の幸せそうな表情と言葉に誘惑され、新八も饅頭を口に入れる。


「いっか…。どうせ給料も滞ってるんだし」


銀時の悲鳴をバックに、新八は青く澄んだ空に浮かぶ白い雲を見ながら微笑んでいた。


(完)





2007/01/20
▲ 始めに戻る
作者のサイト
編集
[←前][次→]

戻る


第4回BLove小説・漫画コンテスト応募作品募集中!
テーマ「推しとの恋」