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和生(オリ主と万事屋)
by 朝飛
R指定:---
キーワード:銀魂 オリジナル主人公目線
あらすじ:和生とは和菓子のこと。主人公は万事屋に和生を差し入れに来ただけなのに…? 注)ラブ要素無し。
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「何それ、差し入れ?甘いモンなの?」
いつもは気だるい男の珍しく弾んだ声が万事屋に響いた。
男の名前は坂田銀時。
いつもは死んだ魚のような目をしたコイツも、甘い物と知ると瞳を輝かせている。
その様子は子供みたいで、包みを手にした私は思わず笑ってしまう。
私は下のスナックお登勢で働く従業員。お登勢さんに言付かって万事屋の皆に和生の差し入れに来たのだ。
「銀さん!!昨日パフェ食べたじゃないですか!!」
「週一度しかダメヨ」
新八と神楽が私から包みを受けとると、包みを銀時から隠すように背中に回す。
「心配いらないですよ」
「銀ちゃんの分、キチンと残しといておくネ」
二人は包みを隠しながらも銀時に笑顔を見せる。
「アレだかんな。食べちゃったーVvてへ♪とか無しだかんな」
「…………フッ」
「Σ今笑ったよな?明らかにバカにした笑いだったよな!!?」
神楽相手に大人気ない銀時に苦笑しながら私は声をかける。
『銀さん、大丈夫!!和生だけど日持ちはするから』
来週でも賞味期限は大丈夫だろう。
銀さんを慰めるつもりでそう言ったのだが、銀さんは無言で私を怪訝そうに見たあと、爆笑した。
「和生だって!!婆くさっ!!!!」
涙をうっすらと浮かべて、銀時は笑い続ける。
「銀さん………」
「あーあー。知らないアル」
新八と神楽はそっと包みを抱えたまま、外へと出ていく。
「和生って言われてわかんないヤツ、いっぱいいるぞ!!」
『……でもアンタはわかっただろうが?』
「へ?」
いつにも増して低い私の声。
抑えようにも限界に達し、私の声は震えていた。
「え…?ちょっと待っ……」
異変を感じとった銀時は顔を引きつらせる。
ガラガラガッシャーンッ!!!!
物の割れる音や激しい音が外に出た新八と神楽の耳に届く。
「ああ…。銀さんご愁傷さまです……」
そっと手をあわせる新八の横、饅頭を両手に持ちながら口に詰め込む神楽の姿があった。
「うわぁぁぁ!!!!何食べちゃってんの!?って銀さんの分ほとんど残ってないじゃない!!!!」
「新八、美味いのが罪アル」
饅頭を堪能し、神楽の幸せそうな表情と言葉に誘惑され、新八も饅頭を口に入れる。
「いっか…。どうせ給料も滞ってるんだし」
銀時の悲鳴をバックに、新八は青く澄んだ空に浮かぶ白い雲を見ながら微笑んでいた。
(完)
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2007/01/20
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