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夕日に影が伸びるまで(ONE PIECE/サンジ夢)
by 醜子  
R指定:無し
キーワード:ワンピース
あらすじ:(夏の)日常の一コマ。
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無風。
凪。

陽光。
陽光。

陽光。



「暑…、」


本日も気候は夏。

暑いです。


「暑、暑、暑…、」

「…うるせェ」

「だって暑いのよーっ」

「分かってるから黙れっつーんだっ」


心頭滅却、なんて云いそうな剣士も、ここずっとの夏気候にはちょっとイライラしてるらしい。
袖を肩まで捲くって仁王立つ姿は『面倒臭ェ!』オーラ120パーセント。


「コラマリモ、レディに向かって声荒げんじゃねぇっ」


そこにおやつを持ってサンジ登場。


「サーンジーっ♪」


嘆声でもってサンジを迎えつつ、瞳は左手のグラスに釘付け。
(野郎に給仕する義務はねぇとゾロをキッチンに追いやりつつ)どうぞ、と手渡されたは、ライムのシャーベットに、ペリエを注いだものだそうな。


「おいしいぃぃー…」


ひと口飲めば喉がすーっとする。


「こんな時はあっさりしたヤツのがいいだろ」

「うんっ」

「夜はカレー。暑い時に食うのも旨いからな」

「うんっ、うんっ」


カレーかー。
朝からずーっとキッチンに篭ってるなぁと思ってたけど、この気候の中煮立ったデカい鍋をかき回してたのかー。
コックって大変だなぁ。


──…あれ?



ふと、少女はサンジをまじまじと眺める。
それは襟元を寛げているもんの、いつも見慣れたスーツ姿。

そして思う。


──キャミとハーフパンツでわちわち云ってる私に対して、長袖長ズボンで、ナンでこんなに涼しげなの。


「何でそんなヘーキなの」

「え、へーきって?」

「あたしはこんなに暑いのにっ」

「俺だって暑いけど」

「嘘っ、何か隠してんじゃないの?」

「へ?」


何を隠すと云うのか。
というか、何を隠すと涼しいのだろうか。


「何か秘密があるんでしょうっ」

「や、秘密なんか無いって」


何の秘密だ。そんなのある訳無いでしょう。

しかし少女はそんな当たり前の返答にまるで納得せず、むうう、と唸り声を上げてサンジを睨みつけて来るばかり。
暑さがちょっと頭にきちゃったんでしょうか。


「〜…」


思い切り疑惑の眼差し。

どうしたもんかと、サンジが思う内、少女はふんっ、荒い鼻息ひとつ。

その後、不意にぴたりと身体を寄せた。


「っ、」

「……」


──え?


いきなりの接近。
嬉しい驚きに包まれるサンジ。


──いや、えっ?


動揺しつつ、平静を装い少女を窺えば、


「あ、やっぱちょっと涼しい」


──…おいおい。


やっぱり頭にきてるみたいです。

ずるっとテンションが下がると同時、感じるのは背中への強い日差し。

これは単に自分が彼女の日除けになってるだけなんじゃないか?


ナンでかなー。
でもやっぱ暑いー。
ううん、やっぱちょっと涼しいー。


ぶつぶつと呟く少女はやっぱり頭に(以下略)。

対し、サンジは背面に直射日光、正面にぴったり憎からず想う相手という状況に、体温は俄かに上昇傾向(心はやや涼しいのだが)。


男心が複雑です。


それでも、暑い時はサンジにひっついたら良いのかなーなんて台詞に顔は綻ぶ。


何だかなぁ。と溜息を零し、温もった少女の髪をそっと撫でた。


2007/01/21
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