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暗黒時代〜輝夜姫〜
by 相河道瑠  
R指定:無し
キーワード:小咄 月に帰る
あらすじ:せめて嫁入り前に処女膜を破っておけば良かったものを
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数有る求婚者の中の一人、倉持の皇子とめでたく夫婦となった輝夜姫。

倉持の皇子は難題である『蓬莱の珠の枝』を手に入れた男で、流石政治を司るだけがあり何を於いても注意を怠らない。

珠の枝を偽造させた職人には約束以上の宝を授け乱入を防いだ。

珠の枝に関する冒険忌憚は盲目の僧侶に頼み、口封じに耳を切り落として国から追放させた。

努力の甲斐(努力をしたのは全て第三者である点をお忘れなく)があって純粋で世間知らずな輝夜姫は倉持の皇子に婚約の義を受ける約束をしたのである。
これで夢の宮廷暮しが出来る。彼女の胸は踊る。
何の事は無い、彼女も一人の女、華々しい宮殿暮しに憧れていたのだ。

しかし七日もしない内に夫、つまり倉持の皇子に失望するようになる。

倉持は貴族で政治の世界の男。則ち正妻が居ない訳が無い。
正妻の他にも寵愛する娘、同性愛用の美少年、グラマラスな熟女…他色々。

夫の激しい浮気癖(癖では無いかもしれないが)にすっかり意気消沈した輝夜姫を待ち受けていた物、それは後継者争いと執拗な虐め。

どんなに美しかろうと、やはり輝夜姫は庶民、それをネタにした女特有のねちっこい虐めが毎日続いた。

温室育ちで親に守られてばかりいた輝夜姫はついに根をあげ、住んでいた竹取の翁の屋敷に逃げ戻って来た。


それからの彼女は悲惨の一言。
輝夜姫を追い掛けて来た倉持や、宮廷内で一目惚れをした帝のストーキングに、尾鰭の増す噂話。輝夜姫はついに発狂してこう呟く様になる。

私は月に帰ります…。帰らなければならないの

かくして満月の夜、心の押し潰された輝夜姫はリストカットを執行し、月へと『帰って』行ったのであった。

END



2007/02/02
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