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*銀世界に溺れて*(日番谷×雛森)
by 六華
R指定:無し
キーワード:BLEACH
あらすじ:珍しく、尸魂界に雪が積もった。ある者は浮かれ、ある者は寒がり……一人仕事をしていた日番谷が見たのは―――…。
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*銀世界に溺れて*
零下5℃
現在の尸魂界の気温。
そのためか降るものの、温暖な気候の中では積もることの無かった雪が、一面を覆い尽くしている。
いつも掃除をしている十一番隊の平隊員達は、今日ばかりは雪掻きに追われ、喧嘩は刀ではなく石入りの雪合戦と化していた。
そんな中、日番谷は十番隊執務室で書類の処理に終われていた。
寒さのため暖房を強くしたい、と訴えた副官を設備操作盤のある場所に行かせて早半刻……帰ってこない。
連れ戻して執務にあたらせたいところだが、探している時間が勿体ないと思い、一人黙々と業務を遂行する。
書類の束が半分片付いたところで、日番谷は休憩しようと外に目を向けた。
(あ?あれは……)
深々と降り積もる雪景色の中に、見慣れた黒い人影がぽつん。
見間違えるはずのない愛しき恋人の小さな影だ。
大脳がそう確信した瞬間、日番谷の姿は部屋の中になかった。
何か 嫌な予感がしたから。
「雛森!」
「わっ!?日番谷くん!!」
案の定、たたずんでいたのは雛森だった。
よほど長い時間居たのか、顔や手は赤くなり、黒く輝く髪や華奢な撫で肩に雪が積もっている。
突然現れた日番谷に驚いたままの雛森に付いている雪を払い落としながら、話し始めた。
「何やってんだよ…ただでさえ風邪引きやすいくせに」
「見てたの」
「何を?」
「雪。雪しか見えないでしょ〜?」
能天気に微笑んで答える雛森。日番谷は脱力し、深い安堵と呆れのため息を吐いた。
予感……
泣いている予感は、はずれだった。
ただでさえ涙もろく、ちょっとしたことにも眼から涙を溢す彼女だからこそ、たくさん泣く時には誰にも見られないようにして泣くことを、日番谷は知っていた。
よくよく考えれば、真っ白な外で真っ黒な死覇装を身に纏っていれば、誰だって気付く。見られずに泣くのは不可能だった。
「日番谷くんこそ、どうしたの?」
「休憩してたら、偶然雛森の姿が目に入った。…それだけだ」
雛森が泣いているかも、と思って来た…などと恥ずかしくて言えるはずもなく、適当にぼかして答える。
「…何故だ?」
「うん?」
「何でこんな所で?隊舎からでも見られるだろ?」
至極当然の疑問。
見るだけなら、隊舎や自室の窓からでも見ることは出来るし、そこから少し手を伸ばせば触れることも出来たのだから。
「…色がね、」
「ん?」
「雪の色がね、似てるなぁって思ったの」
雛森は優しく微笑むと、日番谷のツンツンした…雪が付着し、すっかり冷たくなった髪にそっと触れた。
その突拍子もなく彼女にしては大胆な行動に、日番谷は頬をほんのりと赤らめた。
「雪景色を見てたら、“日番谷くんの色だ…”って思って、気付いたら外に出てたの」
「…俺の色じゃねぇよ。これは、浮竹の白髪の色だろ…?」
照れ隠しなのか、日番谷は相変わらずの憎まれ口をたたくが、雛森には通用するはずもなく、微笑みひとつで返されてしまった。
「あたしにとっては、雪の色は日番谷くんの髪なの。雪…大好きだから」
「……馬鹿なこと言ってねぇで、さっさと屋内に戻るぞ」
「はいはいっ」
勿論、日番谷は“馬鹿なこと”などと思っていないし、むしろ嬉しいことと、光栄なことと感じていたが、素直にそんな気持ちを表現できるはずがない。
「今日は、特にあったかくして寝ろよ?」
「うん、湯たんぽ増やして寝るねっ」
「増やしても、お前腹か足出して寝るだろーが」
「何よ〜っ!そっ、それは昔の話でしょっ!?」
この日、たしかに雛森は銀世界に溺れていた。
大好きなヒトの、大好きな髪の色に染められた、この景色に。
‐終‐
◇あとがき◆
地元でたくさん雪が降ったので、雪の話を書いてみました。
余談ですが、次の日日番谷は風邪を引いたと思います。雛森は引かずに。
そして、雛森に看病させる…みたいな…ダメですかね?(うーわー、妄想族がいるー)
ここまで読んでくださってありがとうございましたっ。
ちなみに本館では日雛の他に、
・恋ルキ
・ギン乱
・修ネム
をメインで、
・一織
・弓砕
・喜夜
をサブで取り扱っております。
現在、イラスト、メールマガジン限定長編小説(オールキャラ?)も扱っています!
もし興味をお持ちになったのであれば、本館に訪問していただけると嬉しいですっ!
管理人様、貴重なスペースを貸していただき、ありがとうございました!
2007/02/17
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