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恋一夜(ゴッ輝)
by 高槻斗流  
R指定:---
キーワード:ゴッ輝 蓮×輝
あらすじ:お泊りデートに出掛けた蓮とテルの甘〜いお話(笑)
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 待ち合わせ場所であるコンビニの駐車場にクルマを止め恋人を待つ。
「おっ、来た、来た。おちびちゃん」
 クルマを降りて恋人を出迎える。



 待ち合わせ場所ヘ急いで走る。仕事が長引いて時間に遅れてしまった。駐車場に恋人の姿を見付け傍に行く。
「すいません、蓮さん。遅れて…」
 その時僅かな段差に躓く。
「わっ…!?」
「おっと!!」
 転びそうになった輝を片腕で受け止める。
「すいません…」
「大丈夫? 足元に気をつけてね」
「はい…」
 輝のドジな所も可愛いが怪我をしないか心配なので終始気を使う。輝はそれに気がついているのかは解らないが、別に気にはしていない。むしろ気が付いてくれない方がいい。
「さぁ、行こうか」
「はいっ!!」





「着いたよ、起きて。テル」
 助手席で眠ってしまった輝を優しく起こす。
「ん…」
 輝が目を覚ますと鮮やかな緑と空の青が目に入る。
「わあっ、凄く綺麗」
 ドアを開け外に出ると爽やかな風が吹いていた。それを全身で受ける。
「風が気持ちいいね」
 蓮もクルマから降り、外の風を感じる。
「そうですね」
 思い切り深呼吸して空気を吸い込む。
「あ!!」
 何かを思い出したかのように声を出す。
「どうしたの?」
「蓮さん、ずっと運転してたのですよね。疲れたのではないですか?」
 出発した時間からしたら3時間位は運転していたようだ。
「ん〜、大丈夫だよ、これ位。君の為なら一日中だって運転出来るよ」
 ニコリと笑顔で答える。嘘でも無く本心でそう思っている。
「それに、君にコレの運転は無理でしょう?」
 自分の愛車を親指で指して言う。
「はい…。とてもじゃないけど無理です」
 蓮のクルマは家が一軒建つ位の超高級車。ぶつけたり、キズをつけたりしたら大変だ。ただでさえ自分はペーパードライバーなのだから運転にはイマイチ自信が無い。
「さ、それよりも早く中に入ろうよ」
 後ろに見えるホテルを指差す。
「荷物を置いたら中のレストランで遅いお昼にでもしようね」
「はい」
 自分の荷物を持ち蓮の後をついて行く。




 遅い昼食の後、輝は部屋をじっくりと見る。最上階で眺めも一番。内風呂はホテルにありがちな狭苦しいものではなくて割と広くて、温泉が引かれている。
「こっちは何の部屋なんだろ?」
 扉を開けて室内を見てドキリとする。
「あっ…」
 頬を染めて慌ててその部屋のドアを閉める。
「どうしたの?」
 背後から蓮が声をかける。
「なっ、何でも無いです…」
「そう。探検が終わったならこっちにおいで」
「はい」
 呼ばれて蓮の傍へと行く。隣に座っている蓮をチラリと見る。さっきの部屋は寝室だったのだ。
(ベッドが一つって事は…)
 その先を想像してしまい顔が紅潮する。
「テル、どうしたの? さっきから百面相してるけど」
 蓮が輝の顔を覗き込んで言う。
「えっ!? な、何でも無いです」
 蓮の端正な顔を間近で見て更に顔を赤くする。
(何を想像してたか絶対バレてるよね…)
 蓮から恥ずかしそうに視線を外して俯く。
「そう。キミって本当見ていて飽きないよ」
 そう言って微笑むと輝の顔を自分の方に向け触れるだけのキスを唇にする。




 輝が暇そうにしているので散歩がてらに辺りを見てまわる。観光地なので平日だと言うのに人が多い。
「あ…」
「どうしたの?」
 輝の視線の先を見て蓮は納得する。
「結構歩いたからちょっと休憩してお茶にしようか?」
 ごく自然な動作でドアを開け店内へと入る。中は広くて落ち着いた感じだ。時間がズレているせいか店内には客があまり居ない。
「いらっしゃいませ。開いているお席にどうぞ」
 女性店員が明るい声をかける。自分達の気に入った場所に座ると先程の店員がメニューと水を持って来る。
「ご注文お決まりになりましたらお呼び下さい」
 軽く一礼するとカウンターの方へ戻っていく。
「どれでも好きな物頼んでいいからね」
 蓮はメニューを見て自分の物を決めるとテーブルの端に置きながらテルに言う。
「はいっ!! 実はもう決めてるんですよ」
「もしかして、これ?」
 テーブルに置かれているスタンドポップに書かれている商品を指差す。果物と生クリーム、アイスクリームがこれでもかと言う位の盛り付けのパフェ。
「えへへ。はい、そうです。よく解りましたね」
「そりゃあ、キミの事ならなんでも解るから」
「蓮さん、またそういう冗談を…」
 ほんのり頬を朱に染めて言う。
「冗談じゃないよ。半分は本気だよ」
 真剣な表情で輝に言葉を返す。
「頼むの決まったなら、注文するよ。他は無いの?」
「はい」
 輝の返事を聞くと店員を呼び注文をする。
 程なく注文した物が届く。写真で見るよりもかなり豪華だ。
「いただきます♪」
 幸せそうな顔で美味しそうにパフェを食べる輝を蓮は幸せな表情で見つめる。




 ホテルに戻ると汗を流す為に交代でお風呂に入る。
「温泉ってかなり久しぶり〜。また後で入ってもいいですか?」
 ソファーに上がって座り、ドライヤーで髪を乾かしている蓮に訊く。
「ああ、いいよ。好きなだけどうぞ。…テル、ダメだろ、きちんと髪の毛乾かさないと。こっちにおいで」
 輝を呼ぶと自分の膝に座らせ輝の髪を乾かしてやる。誰かにこうやってやるなんて以前の自分では想像つかない。きっと輝だからやりたくなるのだろう。
「はい、終わり♪」
「有難うございます」
「もう少ししたら夕飯を食べに行こうね。何が食べたい?」
 輝を膝に乗せたまま鏡に映る自分達を見ながら訊く。それに輝が振り返り蓮を見て「お任せします」と答える。
 ホテル内の飲食店の中から輝の好みそうな店を選び店内に入る。
 夕食後は部屋に戻りゆったりとした時間を過ごす。仕事の話や他愛の無い話しをする。
 ふと時計を見ると日付が変わろうとしている時刻になっていた。
「そろそろ寝ようか?」
「あ、はい」
 蓮の言葉に一瞬ドキリとする。そのままの意味なのかそれとも今、自分が想像している通りの事なのか考えてしまう。
「広いから多少寝相悪くても大丈夫だよ」
「悪くないですよぉ〜」
 輝がぷうっと膨れて抗議する。
「あはは。ゴメンゴメン。じゃ、お休み、テル」
 クローゼットから予備の毛布を出すと輝にお休みのキスをすると寝室から出ようとする。
「えっ!? 一緒じゃないのですか? 蓮さんは何処で休まれるのですか?」
「んー、ソファーだけど。広いから俺でも充分だよ」
 部屋を出かけながら体半分を輝の方に向けて言う。
「それよりどっちの意味で言ってるの? 言っとくけど俺はキミが考えてるような男じゃないぜ」
 今迄見せた事の無い“男”の表情で言う。
 何度押し倒してその体に触れたいと思った事か。自宅に来た時も帰したくなくて引き止めて夜を共にしたいと思った事があった。今日だって湯上がりの輝の姿に理性が吹き飛びそうだった。
 輝が何かを言おうとして俯く。
「じゃ、おやすみ。テル」
 蓮が部屋から出て行く。ドアが締まる瞬間──
「待って下さい!!」
 閉まりかけたドアに手をかけ開き、そのまま蓮に背中から抱き付く。
「テル!?」
 顔だけ振り返らせ輝を見る。
「オレ、嫌だったら今日の事お断りしてます」
「テル」
 輝の手をほどくと体全体で振り返り輝を正面で向き合う。
「後悔しない?」
 蓮の言葉に頷く。それを見ると手にしていた毛布を床に放ると輝を横抱きにしてベッドまで行きそのまま輝を寝かせる。暫く見つめ合うと輝がゆっくりと目を閉じる。それを合図に蓮が輝の唇に口付ける。今迄とは違う濃厚な深いキス。その口付けで互いの感情を高めあい、二人の初めての一夜を過ごす。





end


最後まで読んでいただき有難うございました。


2007/05/21
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