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虚言だらけの現実
by 海の子  
R指定:有り
キーワード:家庭教ヒットマン リボーン
あらすじ:誰かの為に自分を犠牲にする日が来るなんて、思ってもいなかった。
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「ぐ・・・っあ、ん・・・ふ」
体を貫く熱に声をかみ殺しながら、雲雀 恭也は終わることを知らない蹂躙に耐え抜いていた。もう何日目かもわからない。あの草食動物がぼくを仲間と思っているのなら(こちらとしては非常に不本意ではあるけれど)、今頃てんやわんやで僕を捜索しているはずだ。
「なにを・・・考えているんですか?」
後ろで腰を振っていた男が、急に口を開いた。嗚
呼・・・この声を聞くのも何日振りかな。ここにきてから会話なんてまともにしてなかったから。僕はしばらく呼吸を整えてから返した。のどが引き連れて痛い。
「・・・別に。ここに着てから・・どのくらい経ったのかと思って」
すると男は、そんなこととでも言うようにあっさり言った。
「6日ですよ。ここは外の世界とは隔離されてますからね・・・今は夜です。あと4時間ほどで7日目の朝ですよ」
「・・・7日・・・」
そんなになるんだ。正直驚く。この男の話が本当なら、僕たちは2人とも相当な絶論だ。
「でも、時間なんて気にしてどうするんです?あなたは二度と、ここから出ることなんて叶わないというのに」
クフフ・・・と、独特な笑い声が僕の鼓膜を揺らす。でることは叶わない、か。確かにそうだ。僕はここから逃げるわけには行かない。逃げないというのが、僕が自分にかせた最大の鎖だから。
「助けも、期待しないほうがいいですよ?ここを見つけるなんて、いくらボンゴレとて叶わない」
ボンゴレ・・・。僕も話は聞いている。マフィアの中でも最大の権力を誇る組織だとか。
(その雲のリングは、ボンゴレの十代目ボス。ツナを守る6人の守護者の一人の証だ。雲の守護者。それがお前に与えられた階級・・・ツナは俺の弟分だ。よろしく頼むぜ)
ボンゴレという言葉とともに、脳裏でよみがえった声。はっとして視線をを走らせるが、もちろんそこに、自分の求める金髪は無い。
会いたい。
会いたい。
ねえ・・・あなたは今、少しでも僕を心配してくれてる?
「おや。いま、余計なことを考えたでしょう?・・・いけない子ですね」
「なん・・・ひああ!!」
それまでずっとストップしていた律動が再開される。まったくの不意打ちだったから、ぼくは思わず声を抑えきれない。激しく突かれ、ゆすられ、引き抜かれる。
「僕以外の人間の事を考えるのを、許した覚えはありませんよ・・・っ?」
「ご・・・・っめ・・!ゆる・・・・し、てぇ」
体中が溶けていく。頭の中がぐちゃぐちゃで、もう何も考えられない。
(恭也・・・!いたくないか?)
再び甦った声に全身が震える。何で思い出す?ここに来た時点で、記憶の奥底に封印してきたはずなのに。
「やぁ!・・・い・・・たぁ・・・!!」
うしろが引きつった痛みで悲鳴を上げる。ぽろぽろと零れ落ちる涙は、痛みのため。
ナンノイタミ?
(・・・可愛いぜ、恭也・・・!)
ズキン。
(声・・もっと聞かせろよ・・・)
ズキン。
「ああ・・・!やはりあなたは最高ですよ。雲雀 恭也」
うっとりとしたこの男の声は、一体誰のもの?
ズキン。
ズキン。
「・・・あなたを、愛していますよ?」
(愛してるぜ・・・恭也・・・っ)
ズキン、ズキン、ズキン。
「あなたは、永遠に僕のものだ」
全身を引き裂かれるようなこれは、何?
会いたい。
会いたい。
「・・・ィ・・・ノ・・・」
無意識に零れ落ちた名は、この世で最も愛しい人の名。

「僕のものになってください。そうすれば僕は、彼には指一本も触れないと約束しましょう」

(おまえが、雲雀 恭也か)
開かれた、応接室の扉。
その金髪を目にした瞬間から、僕の全てが色を持った。灰色で、赤しかなかった世界に、命が宿った。

「・・・いいよ・・・」

会いたい。
会いたい。
あなたを守るためなら、僕は何だって出来るんだ。僕の世界は、あなたの為に・・・。
「ねえ。君は、僕を愛していますか?」
耳元で囁かれる、声。これは、誰のもの?ぼんやりとした視界に移るのは、望む色ではない。
移るのは黒。禍々しいまでの、漆黒。
それでも。
「・・・ぃ・・・して・・・る・・・。む・・・くろ・・・だ、け・・・」
「いい子ですね。ご褒美を差し上げましょう」
いっそう激しさを増す突き上げ。同時に増す、痛み。
ねえ。これは一体何の痛み?
(・・・愛してる・・・)
ズキン。
ズキン。
ねえ、痛いよ。痛い・・・痛い。
痛くて、堪らないよ・・・。
会いたい。
会いたい、会いたい。
これは、僕自身が望んだことだけれど。
助けて、なんて言わないから。
傍にいて、なんて言わないから。
「あ・・・して・・・る・・・。あなた・・・だけ・・・を・・・っ」
これからもずっと。永遠に。
だから、僕を見つけないで。
穢れた僕を、見つけないで。
あなただけを、愛しているから。


ねえ・・・ディーノ・・・?


2007/09/29
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