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[1] タイトル未定詩
By 西人
05-12 04:09

 いつもアタシたち
 爪先立ちをしていた

 海と空のさかいめ
 濡れて
 滲む
 ひんやりした音が
 遠くを
 遠ざけていて
 ざざぁん、ざざぁん、
 目をほそめて
 揺れる
 遠くを見ている
 
 背ぇくらべが
 勝負にならなくなった
 のは、いつ。
 いつの事だったかな

 二人で歩いた砂浜を
 今はひとりで歩いている

 貝殻骨の目立たない
 たいらな背中をしていた
 そして
 そのたいらな背中は
 やさしいかたちをしていた

 背中だけじゃなく
 てのひら、
 ほっぺた、
 みみたぶ、
 おでこ、
 君のすべてが
 やさしいかたちをしていた

 君のすべてが
 やさしいかたちでなくなってから
 少しして、
 アタシたちはいつの間にか
 背ぇくらべをやめて
 爪先立ちもやめてしまった
 
 揺れている
 ざざぁん、ざざぁん、
 いろんなものが
 ゆっくり流れ出ているから
 アタシ、こうして
 ずっと遠くを
 見ている
 足のうらがわについた
 砂を気にしながら
 君の貝殻骨を
 思い、出、して、

 君に、触れる
 あのころのアタシが
 あのころの君に
 手をのばして

あそこへは、ゆけない

けれど


 海と空のさかいめ
 濡れて
 滲む
 ざざぁん、ざざぁん、
 ひんやりした音、が
 温もりをおびたので
 少しだけかなしくなって
 そっと目を閉じる

 さようなら、
 アタシをわすれないで
 ざざぁん、ざざぁん、
 また背ぇくらべ
 ざざぁん、ざざぁん、
 君が勝ってもそれでいいから

 今なら
 やさしくはないけれど
 貝殻骨のついた
 ちょっぴりきれいな背中も
 好きになれる気がするから

 そのときは
 そのときの君が
 そのときのアタシに
 そっと触れていてください


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[2] By 西人
05-12 04:22

 今なら
 貝殻骨のついた
 やさしくはないけれど
 ちょっぴりきれいな背中も
 好きになれる気がするから


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