[1] 東尋坊
By あみね
06-26 09:59
 

永遠よりも遠く
いまを生きている

水平線の輪郭は
はっきりと弓なりで
弓なりをたどった球体に
ちょこんと乗って
実体のないわたしは
漂い、生きている

流れる潮風の中
光の世界に身をおいて
影をつくり
肌を焦がしながら
それでも
実体を探して
漂い、生きている

 漂っているのは
 わたしではなく
 まわりの碧い海かもしれない

 ほんとうの空間と
 まやかしの空間と
 どれほどの距離があろうか

波が生まれ
波が散って
岩に掠め取られた潮騒が
ふっと、もどる

いちにちじゅう
海を眺め
いちにちじゅう
空を眺め
波の寿命を思い
風の出生に頭を巡らせ
変化していく、いまを
見つめていた
水平線上を横切る船を
数えてみたりした

曖昧な記憶の端で
粒子がひとしずく
遠く近く漂い
永遠に再生される夢ばかりが
小さな渦となって
まわり続けている



(2008/4/10“詩りとり”投稿作)
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