盲目の色





空腹も満たされた午後2時過ぎ目を擦る私は誰かに話を聞いて貰いたくなり目を瞑ったら繋がるあの人にいつの間にか語りかけている。蜜柑みたいな甘酸っぱいの匂いのするあの人は顔も知らないけど愛してるよと言ってくれる。




用心深くも階段を降りる。掴んだきみの右手がわたしの救いなのだけど、ここで踏み外してしまうとしても後ろは決して振り返らないだろう。記憶した藍色の空にゆったりと橙が横たわっている。「ありがとう」って声に出したら涙で虹が差した。




雪みたいなシーツを頭からフサッと被る。きっと世の中はこんなに狭いもんなんだよ。と肩が触れた距離でもまだ遠い気がしている。汚れていない真っ白いシーツに幾つもの星をばらまいてこれがぜんぶ光輝けよ!と頭の中で何度か唱えて、笑ってみた。




あの子を思い出しながらポークカレーを作った。野菜は大きめに切って玉ねぎは血潮の色まで炒めるとほのかに思い出のような甘い香りがする。帰宅した彼に向日葵の絵皿でカレーを出すと美味しいと平らげてくれた。向日葵はカレーだらけになり私もカレーを口にするとなんだか切なくなってしまった。




頭を寄せ合って眠る。見た夢や考えている事がバレてしまうのではないかとヒヤヒヤしながら。寝息が耳を掠め、天井には白熱灯の残り火のような青がまるで神様の目ん玉のように見えた。瞼を閉じたらおしまいだ。1日のお終いはこうやって始まる。





ena 09/16*


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