『棘』 待ちくたびれた、 そう言ったかと思うと スカートの裾の 刺繍をひと針、ひと針進めていく 思い立ったかのように、 思い出したかのように、 継ぎ足すかのように 火曜日の午後 ベランダからは西日が 刺すように射し 注ぎ込まれたのは 退屈の眼差し ゆっくり壁際に座ると 隠れたようにくちづけて 後頭部に回された腕は ああ、くたびれてしまって LIGATUREのようだな と諦めてしまう きっと、 片足がぬかるみに 嵌まってしまったのも 気付けないのだ きみは。 僕は、 どんなに卑劣で ずる賢くて欲に溺れてて 退屈に慣れたような誘う目で見るのをやめてくれないか スカートの柄は真っ白で 裾に向かって茨の弦のように伸びて伸びて、伸びて 縛られて、足を掴まれ 時には揺り篭になって 刺激はいかが? と甘い顔して縫い進めた糸は夕日に照らされ赤くしなってた。 ena 09/08* 『刺し子』 後ろから回す広い腕が 好き 白くて 何処にでもいかせてくれるから 好き 腕に市松柄が手首まで チクチクチクチク 模様を描いて幾つかを 繋げて 欲しいものを呉るので 薬指をねだったら 呉るかな そしたら きみの欲しい色を あげよう 後ろから回す 腕に通した 刺し子の様だ チクチクチクチク 描いたのは くれないの蝶 ena 09/08* ▲/▼ [RES][BACK] |