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[1] 夜の帳
行き交う車のヘッドライトが
流れていく
川に流されている
小さな魚のように
遠ざかる
約束、と言う傷口に
そっと触れる街灯り
コンリートのビルは冷たく
けれど
かがり火のように優しく
*
道路工事の標識が立ち並び
夜警の赤いランプを
誘導員が揺らし始める
真夜中ではない真夜中で
労働が生み出す
白いため息が消えていく
そのほころびを結びつけて
私たちは満たされていくのです
煙突の煙が彼方
骨はここにはありません
*
光を帯びて散り敷かれた
夜の袖がはためく雲の隙間に
願うすべを知らない
山々に消える
密かに響く鹿の鳴き声
*
ねんねこよ ねんねこよ
手のひらの中、
母の歌を探しています
誰も知らない記憶の底で
誰も知らない秘密の歌を
*
いつもの公園を通りすぎる
相も変わらず人気はない
冬と呼ばれるお前が
そろそろ来る頃合いですか
枯れ葉はすでに
つむじ風の仕草にまかれて
去ってしまったよ
まつ毛をふるわせ
爪先まで染み渡る風に
ここが秋だとやっと知る
電灯で照らし出された木々が
音も無く
さやさやと揺れている
波打つ池は煌めいて
どこか海に似ていた
*
街のかがり火の向こう側
夜警の赤いランプが
ゆらゆらと
真夜中ではない真夜中に
夜の帳が私へと開かれていく
ねんねこよ ねんねこよ
母の歌を探す手のひらに
やはりあの頃は見つからないから
せめて夢を、と願うのです
指先でなぞるようにして
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