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clematis



日は薄情に暮れ
風は気ままに流れ
道は幾つも別れて
何処まで続くのか

夕刻に連れられて
朽ちた敷石の道を行く
今頃クレマチスが咲く
いつかのちいさな庭へ

そこには
そっと手を伸ばして
掴みかけたものがある
そこには
ふと問いかけて止めた
話しの続きがある

取り戻すならば
すべてを
忘れ去るならば
すべてを

いつまでも
見つけられない
始まりのかわりに
終わりを求めているよ

今にも消えそうな石畳
庭は遠過ぎて見えない
何度も向かっているが
まだ辿り着いていない

ある筈のない交差点で
いつも止まってしまう
仕方なく矢印に従って
或いは逆に行ってみて
どちらにしても違うと
行き止まりを見つめる

点滅し始める夜のなか
まるで我に返るように
家に帰る僕だけれど
そうさまよったままで

手を伸ばしているんだ
話しかけているんだ

今頃クレマチスが咲く
きっと雨に濡れている
 




89 / HP / 編集
2010/06/22 08:03

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