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埴輪


空腹のポケットは浅く
滑る車輪を眺める
吃りの砂時計
人造の憂欝
濁る脇腹 鈍く沈み
微熱の恐竜が目覚める

朽ちてゆく脛は
顔色悪いブルース歌う
句読点の自殺について
明朝体の屍について
そんな無数の腕の歌
そんな絶えざる断末魔

鉱石の娘に恋をした
原始的な純情賭けた
片目山猫の震える予感
左半身から順に
轢かれた筈の悲鳴が
消えてゆく
その
不条理な
快感の彼岸
錆びた煙突は
新品のロケットになって
暮れゆく燈は
墨絵の音楽会になって
渦巻く悪夢は
奇跡的な天文学になって
不屈の赤子みたいな瞳で
掌を蝶に変えては
狭い善意の旗燃やし
虚無の壺から
覚悟を掴んだ老人は
無傷だった頃の
神話的な唇で
やっとこ
笑った
 


*

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