06/12 00:49
「後翅」
ガラス玉
郵便局に行った帰りに、『パサバサ』って、軽い何かが擦れ合う音が、響いたんです。
キョロキョロと見回したけど、何もなくて。
ふと、郵便局の窓の下を見やったら、黒揚羽が、一生懸命、羽をはためかせてました。
おそらく、迷い込んで、出れなくなって。
光だけを頼りに、窓で羽をはためかせた蝶。
窓の上まであげられたブラインドにひっかけたのか、片方の後翅はなくし、前翅は両方、ボロボロでした。
片手で掬いあげて、近くの大きな神社に行って、離す事に決めて、神社の大きな幹に、離しました。
羽の3分の2がないうえに、私が掬いあげた事で、燐粉が幾分か、取れてしまったから、もう羽ばたけないし、永くはないでしょう。
(燐粉は蝶にとって、雨合羽みたいなものなんです。葉の裏で雨をやり過ごしていても、防げなかった雨粒を、弾く為のもので、一度取れると、二度と再生しないんです。)
黒揚羽は、幹の上をくるぅりと廻って、
羽を、広げました。
あ
と思った時には、もう羽ばたいていました。
おぼつかない羽捌きでしたが、ひらひらと。
葉擦れの合間をぬって。
いつまでか、解らないけど。
他の蝶よりも、少ないかもしれないけれど。
それでも飛ぶ黒揚羽は、やっぱり、綺麗でした。
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