10/29 01:22

「蛍の光」
硝子玉

私が通っていた中学校には、『ホタル専門委員会』という委員会があった。

なんでも、蛍に合った水質の水がうちの学校の下を走っていたとかなんかで。

一年生から三年生の各クラスから男女一人づつが選出され、ホタルの世話に当たるのだ。
一年の上半期と下半期に一回づつ選ばれる。

どうでもいいけど、この委員会。
とにかく不人気だった。(特に女子から)
重い水を頻繁に変え、ホタルが死なないように水温を管理する。
餌になる巻き貝を毎日もらいにいき、与え、どれ程生存しているかをチェックする。

他の委員会よりも手間が多く、なにより、ホタルの幼虫は気持ち悪い。
それが不人気の理由だった。
(因みに人気の委員会は放送と図書。)

3月に学校の中にある施設に放流し、5月に観賞し、観賞の後にはホタルを一匹残らず回収する。

鳥小屋並の篭を飛び回るホタルも圧巻だけど、人の身長ほどもある篭に入れられたホタルも圧巻だった。
(数も数だから)

そして生まれた幼虫を、次の年の3月まで世話をする。

飼育されるホタルは長くて2週間ほど生きるけども、野生のものは5日ほどしか生きないものもいる。
自ら光っているホタルは、格好の餌食なのだ。

あの光だって、ホタルの命を削って灯されている。


面倒くさいと忌諱されていたけれど
気持ち悪いと犬猿されていたけれど

ホタルを見守っていたあの夏が私の中で薄れることは、これからも無いんだろうなぁ…。

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