01/11 17:27
「蛹のままで」
ガラス玉
小学2年生だった頃、国語の授業で、蝶の飼育をしたんです。
理科と連動していて、飼育日記をつける、といった内容でした。
班ごとにわかれ、配られた卵を世話しました。
黄色く丸い卵から生まれた幼虫は、黄色い蛹になりました。
だけど、蝶になる班もあれば、ならない班もあり、私の班は後者でした。
私は納得できなくて、先生に聞きました。
「先生、うちの班の幼虫は、のんびり屋さんなの?」
『は?』
「まだ蛹から出てこないもん。きっとのんびり屋さんだからでしょ?」
先生はため息をはき、
『あのね、総ての幼虫が、蝶に成れる訳ではないの。』
と答えました。
「…必ず蝶に成れるんじゃないんですか…?」
『蛹の中で蝶になれなかった幼虫は、そのまま死ぬの。蝶に成れるのは、ほんの一握りだから。』
この話は終わり、と先生は教室から出ていったけど、私は動けませんでした。
だって、それまで、総ての幼虫が、蝶になれるのだと、信じていたから。
蝶に成れる夢を見ながら蝶になれなかった幼虫は、蛹の中で、何を思うんだろう。
蛹のついた葉っぱを軽く振ってみたけど、カラカラ、カサカサと乾いた音がするだけで、幼虫からは聞けなかった。
今の私は、蛹?
それとも、蛹から出てこない幼虫だろうか。
あの時の蛹なら、答えてくれるでしょうか?
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