[○愛と□愛]






きのこスパゲティ
回転する皿の上では
舌鼓を打つ準備をしている
口腔内では言語の切れ端が
あちら
こちら
上下動する歯の間ではきのこが
きのこが回転する口腔内でつぶやかれた言葉の切れ端が
端っこが皿の上に
皿の上で舌鼓を打つ準備をしている
テイル

テイル
耳元でささやかれている物語を拒絶する鼓膜
の裏側で孤独な夢想家がバイオリンを弾く
アリア!
あなたの抱擁を手に入れるために
この体を手に入れたようなものだから
耳くそになってしまったあなたの言葉もすべて
掻き出して

掻き出された「aishiteru」は
空気中でブラウン運動をしている
窓の隙間から差す日の光は
電球の切れた部屋ではやたら眩しい
眩しそうに畳で横になり
天井のしみを数えているうちに終わるわよって
あなたの言葉が零れ落ちてくる
(私は君に上に乗られて仰向け。あなたの鼻の穴がよく見エる)
エール
指のしぐさを見るのがすきなの、って
言ったのはどっちだったかしら
握っているのか握られているのかわからないまま
お互いのつめの間にはい草が詰まっているんだかんね!

だかんね!
が、やっぱり零れ落ちてきて
天井のしみはなくなってしまった
天井からたれ滴るあなたを受け止めます瞳
瞳ちゃん!
もう一度名前を読んでほしかったのよ(踏まれたかったのよ
吐き出されたスパゲティを踏みつけて
「aishiteiruwa」
もいちど もいちど ささやひて くれませんか ?






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