[毛を舐める猫]
三十八番目の猫のひげをつかまえて
、と君からの電話を取ったときの空は
南の中空にさそり座を泳がせていたまさにそのときでした
かつて 空白にうずめられた女性の谷間に
顔をうずめたことがあるのかと問われたのを
思い出している幽霊が泳いでいたのです
しましまになって夕刻が裁断されていくとき
笑顔だけを残した猫のひげが
泣き声のオノマトペを君の
君の受話器に」」」
(舌先に絡まったけだを乗せては昨日に向けて吐き出すのだ)
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