オーキュペテーとケライノー




目の前にある 誰も座っていない
席にすわっているオーキュペテーが体重を預ける
背もたれは わたしに
丸見えだ

「何も座っていない」が その席に話しかける
ケライノーに向かって わたしの
声 は はじき返され
れている
口ごも られている る

咳き込む オーキュペテーに さ さげる
えへ
ん え へん
「何も 座
って い ない」
は、獲たそうだ(ケライノー!)を、しかし、
それはどこか、わたしに似て

似た、声色で咳き込むケライノー を
、の 見えない亜足を組んで
スカートのなかを気にしている
オーキュペリー きみにささげる わたし の

ひらひらのスカートの重さを
背もたれは受け入れている
わたしは わずかに渇いたのどを
唾液で潤し
つきかけた嘘を また改めて胃壁に押し付けた

向かいの席では
腹を押さえながら嘔吐
を、する「何も 座っていない」は、
ケライノー きみは、
透明なまま スカートをきょうも 気にして

えへん へん。
と 、咳き 込 む。




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