春の似顔絵
木のへらで 鍋をあさり
一昨日を懐かしんでる
まぶしすぎる曇りガラス
キッチンに広がる黒い染み
細めた目で見つめてみた
まぶたの裏の似顔
玄関で忘れられた靴紐に残る
雪がとける
しゃべるな
焦げ付く 鍋底の郷愁を
屈折された日の光が
女の名前のように包んでくれる
俺の影に囲われながら
ガスの火をゆっくりと消す
窓を開き 春一番と
接吻をする
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