夏至
図書館では
いつもの音量より１０くらい下げてる
２とか３くらいにしてる
５や７では大きすぎるし、１１はぞろ目だからイヤ
素数以外の数なんてないよ
喧騒はひっくりかえって
イヤホンから外が夏みたい
明るいうちは
スキップしてみてもいいよ
鼻歌はご法度
日差しが活字みたいにキラキラして、
読み始めた朝は
洗うことから始まって
さんぽから帰った犬を洗い
それから自分の手を洗い
寝呆まなこの顔を洗い
朝食後には歯を洗い
茶碗と湯飲を洗い
洗わないのは
お洋服くらいで
それは代わりに洗濯機がやってくれる
活字がキラキラした日差しみたいに乾かして、
水気を切った湯飲や
茶碗や
歯や
顔や
手や
犬を棚になおして
足の数を数えて４で割れば２余る
なので、犬は２匹いて
余ったのは自分だった
１０本の足を数えたことを
適当にかけた電話相手に話して
繰られて
すべて棚になおしたら
乾いたお洋服を
きたりきなかったり
人間透明だ、人型の「視えない」が外を歩いている。
黄色いハイヒールがかわいくて
それに似合う黒ニーハイとか履きたくて
階段をのぼる
前を歩くおにゃのこの
ひざのウラばっかり視ちゃう
視られない透明が今年一番短い影を地面に、さあ、
ボリュームをあげて？
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