乾湿球





女は肉を食んでいて肉は女だ。
コンビニエンスストアの床には引き裂かれた制服が落ちている
倒されたレジ横の100円ライターで焦がされた肉はそれ相応の価値をもって咀嚼されている、女の歯の間にあるのは女だ。
乾湿球は変動しない。
透明な倦怠が二足歩行で入店する。
いらっしゃいませ、と女の声とともに自動扉が開閉される、店員は食事中だ。
機械の声に招かれても商品棚には何一つない。
三年前の週刊誌を立ち読みする倦怠が制服を踏んでいる。
ガラスの割れる音がする。
みみずが、おびただしい数のみみずが店のうちに入ろうとする。
女の局部は焼き尽くされ、そこは切り傷だった。
本棚の前の空中から突然大きな裁ち鋏が現れ、女は股間を飲み込み始めた。
すべての肉を飲み終え、不可視の売買契約を結ぶ。
光線の代わりにガソリンをまき店に火を放つ。
乾湿球が変動する。
いみじくも射精音を響かせながらみみずが死んでいくのを呆然と眺めつつ、透明な店員と来客が自動扉にレジを投げつける。
ガラスの破片一粒に至るまで黒く焦げたミミズが映る。
コンビニエンスストアが燃え尽きた暁には、女でないものが消尽していた。





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