色んなエッチ

[1] 婆さん
By ユウスケ

07-30 18:16
コンビニに入るなり、外の駐車場で物凄い音がしました。ドア越しに外を見ると、先程停めた僕のミニバイクの上に車が・・・・。
慌てて外に出ると、運転席から賓のある婆さんが出て来ました。オロオロしている様子です。

「どうしたのですか？」と僕が聞くと・・・・。

「アクセルとブレーキを間違えて・・・・大変な事をしてしまったわね！・・・・あなたのバイク？」

まだオロオロしています。

「そうですけど・・・・」車体の下のバイクを覗き込みました。

完全にオシャカです。見るも無惨な姿で横たわっています。それよりも、僕のバイクは三万円で友人から譲ってもらったボロボロだから良いのだけど、婆さんの車は新車のクラウン・ハイブリッドで高級品です。それが、バンパーからフェンダーにかけてかなりのダメージです。ライト周りも派手に壊れています。かなりのスピードでぶつかったのでしょう。

「それより、怪我はないですか？」僕が聞きました。

「大丈夫です。それより警察に電話しないと・・・・。」携帯を取り出して、婆さんは110番しました。

それから、1時間位警察の現場検証やら、レッカーの手配やらで時間を費やし、示談と言うことで、後日話し合うことにし連絡先を交換して別れました。帰り際に貰ったタクシー代の一万円に・・・・ラッキー！・・・・と思いながら別れました。僕のアパートはそこから歩いて10分位の所でしたから・・・・。

翌日早々に婆さんから連絡があり、会うことにしました。
僕のバイトが14時に終わるので、15時に昨日のコンビニ近くの喫茶店で・・・・。

15時少し前に着いたのですが、婆さんはもう来ていました。お茶をして、バイクを弁償してくれると言う事で、タクシーで品川のバイク・ショップへ・・・・。婆さんの知り合いの店の様でした。

三万円の中古バイクだったのに、二十万もするような新車のバイクを弁償してもらい、悪い気がしました。

登録に1～2日かかると言うことなので、出来たら連絡をくれる様に頼んで、婆さん行きつけのレストランで夕食をご馳走になり、家までタクシーで送って貰い別れました。

翌日は、バイトが休みでしたので、朝から洗濯やら掃除やら、1ＤＫのアパートですからそんなに時間はかかりませんが・・・・。

僕は、長野から上京して大学は卒業したものの、就職が決まらず3年目の今年もバイト生活です。

昼前に婆さんから連絡があり、話しが有るから会いたいと言うのです。別にすることにも無いので会うことにしました。

指定された寿司屋に着くと、奥の座敷に案内されました。テーブルにはかなり高級な料理が並んでいました。

「昼食でもしながらお話しましょうよ！」と婆さんが手招きして勧めてくれました。

時間は大丈夫？迷惑じゃなかった？」

「いえ、今日はバイト休みですし、すること有りませんから・・・・。」

テーブルの料理が気になります。こんな昼食見たことが有りません。夕食でも経験したことが有りませんね。きっと、この一食で半月分の僕のバイト料が飛んじゃう事だろうと思いました。

「飲めるんでしょ？」婆さんはビールを勧めてくれました。

「いただきます！」グラスを差し出してビールを注いでもらいながら・・・・。

「それで・・・・話って何ですか？」

「あっ、そうそう・・・・昨日バイト生活してるって言ってたじゃない？」婆さんは料理に箸をつけながら言った。

「はい、中々就職出来なくて・・・・」

「それでね、昨日会社に帰ったら、社員が、事故の事も有るし運転は運転手に任せたら？って言うのよ。」

「私もそう思うし・・・・だから、あなたの事を推薦したのね運転手として・・・・。」

大学時代に普通免許も取った、無事故でも有る。でも・・・・運転手だなんて・・・・。

「勿論、運転だけじゃいし、社員としても働いてもらうわよ。まぁ、秘書兼運転手って肩書ね。あなたさえよければ・・・・。」

話が進んで行くうちに、自分でもＯＫかなと思い始めた。

婆さんは、関東に十数店舗のガソリンスタンドやカーショップを経営する会社の社長で、数年前に旦那さんを亡くし、子供がいないから自分が社長になったとの事だ。僕も以前に、婆さんの経営するカーショップに行った事が有る。

社員と言うことで、安定した収入も出来るし、保険等も付く。いつ解雇されるかわからないバイトより安心だ。一応ＯＫはした。

1週間後に入社と言う事で話が進み、なけなしの貯金を叩いて安物のスーツも買った。

ただ、入社して2ヶ月、婆さん（勿論、会社では社長と呼んでいる）の「運転だけが仕事じゃ無い！」と言う意味がわかった。