投稿日03/25 21:49
「いつのまに(其の弐)」
ジェルガヒミカ
ある日彼女がいつものようにお昼を少し回った時間。お店に向かういつもの道で信号待ちをしている時、都市高の高架下に住み着いてる感じがする一人のホームレスにいつから居たのかその日初めて彼女は気づいた。
その人は髪やヒゲは伸び放題で顔は汚れか日焼けなのか真っ黒で、飼い主においてけぼりをくらって泣き出しそうな犬がションボリとしているような淋しそうな感じがする表情で、そのホームレスのどこを見ても、若いのか年寄りなのかも全く見分けがつかなかった。寒さを凌ぐ為か毛布代わりに汚れたセーターやスーツやジャンバーを重ね着して汚れた毛布に包まってアスファルトに胡座をかいて座っていた。彼の前も後ろにも3車線道路が走っていて、そこは途切れる事なく車がビュンビュン走ってるらしい。まるで濁流の川の中ノ島に置き去りにされているかのように思えた。
その彼はそんな周りの事にはもう慣れているのか気になってはなさそうだった。その彼の手には一枚の食パンが握られていた。彼は食パンをジーっと眺めていた。彼女は、「何か虫かカビでも付いてたのかな」と彼の事をじっと見ていた。手に持っていた食パンを袋に戻して汚れた毛布に包まり彼はゆっくりとアスファルトの上に横になった。
そこまで見て信号が青になったので彼女はそのホームレスから離れた場所の横断歩道を渡った。だけど彼女は渡りながら彼からは目が離せなかった。渡り終えた後、彼女は立ち止まって一瞬だけ振り向いた。
まるで、ホームレスは
「ゴミの塊」
に見えたそうだ。
そして彼女はその場から立ち去りお店へと向かった。
つづく
編集
△このコラムのTOPへ戻る
▲コミュに民のトップへ
小瓶に手紙を入れて海に流すようなコミュニティ
