投稿日03/28 11:42

「いつのまに(其の四)」
ジェルガヒミカ

 話を戻します。

 仕事中も彼女はあの時のホームレスの事が頭から離れなかったようで、ホームレスを見たのは初めてじゃないけれど遠目ではあったがマジマジと彼らの日常を見た事は今まで無かった。
 何も知らないから一概には言えない。だけど彼女はそのホームレスの今を想像してみた。
 ……それから彼に比べて自分がまだまだ恵まれている事に、この状況を「とりあえず良し」としようと決めた日になった。
 私と電話で話している今でも彼女はこの仕事の事を人に威張って話せる職種ではないし、誇りは今でも持てないという。だけど自分に与えられた仕事をする事で、自分は食べる事も屋根がある部屋の中、布団で寝る事も出来る。そして欲しい物もある程度は買う事が出来る。
充分だと思える。
しかし…
生きていけない。
いや、生きる気持ちが湧かなくなっている。と彼女は言う。
少し間をあけて私は
「どうしてかな?」
と聞くと、彼女は即答した。
「なんだか、むなしいって言うか‥寂しいんだな、きっと私。……今はこのままでも生きていけるけど生きてけない…(笑)なんか矛盾してるよね。あっ、でも死んだりなんかは考えたりはないから(笑)」

 そのあと、私は彼女の心の底に届くような安心させる決定打を放つ事は出来なかったような感じがしました。
だって考え想像は出来ても彼女の実生活で日々感じてる事まで私の中ではリアルじゃないから。
でも、彼女は
「ヒミカちゃんと話せてすごくスッキリしたよ。」
と電話口でアクビをしながら彼女は言ってくれた。私も彼女につられてアクビが出た。
彼女とまた近い内にご飯でも食べようと約束をして電話を切りました。

続く

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