投稿日04/10 00:24

「アスパラガスの食べ方」
ひよこ

申し訳ないけど、僕が見たのはたったそのページだけなんだ。
だからその本がどれだけ、sophisticatedなものなのかはわからない。

ただなんとなく本屋に行って、ただなんとなく取った本を、真ん中からバッと開いたら、出てくるページを見る、それでおしまい。
そんな軽率な扱いを受ける本はいくつもある。
ただそのページがすごく印象的なことはあまりない。

そうかいあぁ、とても軽率だったよ、失礼、レディ、
その本は鮮やかなスカイブルーで、たいした厚みもなく、手に取ってみたくなるようなサイズだった!
でも本の内容にはたいした興味はそそられなかった。
僕には料理本か、はたまたファッション雑誌を見るくらい、縁遠い。

でも強いて言えば、ちょっと中を開けたらオードリーヘップバーンが出てくるんじゃないかって期待してた。(映画は好きなのだ。)
だってその本の名前は『ティファニーのテーブルマナー』だったから。

「アスパラガスを上手に食べる」
開いたページから出てきたのがそのお題。
『ティファニーのテーブルマナー』なら、さぞ上品に食べるんだろう!
なんてったって想像するのは、「ティファニーで朝食を」だ。(僕は映画は好きだ。)
僕にできることはせいぜいそれくらいの想像だ。

とりあえず読もう。
「アスパラガスは、長いときは、ナイフで短く切ってから食べる」
ふむふむ…
「でもあんまり長くないときは、手でつまんで食べる」

嘘だろう…
度肝を抜く発言だ!
とんでもないよ!
手づかみなんて…!

さらに注意書きが。
「あんまり長いのをつまんで上から口に放り込むのはアシカみたいでお行儀が悪いのでやめましょう」
ご丁寧にもその行儀の悪い食べ方はイラスト付きだ。
アシカね、
その丁寧なイラスト付きのおかげで、アジだかサバだかを、飼育員の手からうまいことパクっと食べる姿が目に浮かぶよ。
とにかくそんな食べ方ができるのは、僕にはピザくらいだ。

僕には初にして衝撃的なテーブルマナーだった。
待ち合わせをしていた彼女が駅に到着したので、そこで他のページを見るのをやめて店を出た。たいして未練はなかった。彼女を待たせることのほうがたいしたことだ。ちょっとおもしろかったけど、そんなに夢中になる本でもなかったわけだから。

でも今になっても時々思い出してイメージする。
アスパラガスは手で食べる必要があるのだろうか。
手でつままなくても、フォークでうまくちょいちょいつつけば、さすがのアスパラガスだって一発でキャッチできるはずなのに。
あの本って、本当に、ティファニーなテーブルマナーだったの?

でももう1度あの本を読んで、『ティファニーのテーブルマナー』にふさわしいrefinedなマナーを紹介しているページを読みたいとは思わないよ。
だって僕は、料理本やらには興味がないのだから。
そうだな、途中のページで、「ティファニーで朝食を」でのオードリーヘップバーンのエピソードが出てくるんであれば話は別だ。
だって僕は、映画は好きなんだから。

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