投稿日03/21 22:48
「酒と涙とドーナツ化」
ひよっこ
サイゼリヤの隣の席で、一組のカップルがドーナツ化していました。
こちらの席と言ったら、今まさにデブ化しようとしています。
2人各2品。
ミラノ風ドリアと、若鶏のディアボラ風、ボロニア風ピラフのオーブン焼き、タラコソースシシリー風。なんだ、どこまで『風』なんだ、
イタリア人に顔向けできぬ
その前に隣の席の喧嘩声が聞こえるが、気まずくてあんまり見れません
今、まさに破局寸前です。
「だってアナタがもう少し思いやりのある態度を…」
「あーもう黙れ」
女の話をひたすら遮る男の声。
我々の会話はというと、
そりゃあノーテンキなわけです。
「あたしは、サラダのトマトが嫌いだわ。でもそれ以外のトマトは好きよ。」
「うむ、僕もトマトは嫌いだ、トマトは潰して加工されたもののほうが美味いね。」
「トマトソースとかね。」
「うむ。」
「つまりは、トマトのあの、かじった時の、『プチュッ』ってやつが嫌いなのよ。」
「うむ、そんなわけで僕は、特にプチトマトは大嫌いなのさ。」
って。
かくして隣のドーナツ化はさらに深刻なのです。
「いつまでもこんななのは、オマエが俺の給料まで吸い取ってるからだ」
「ダメな家庭は、帰ってきても亭主に愚痴しか言えねぇんだ、ネガティブなことばかりグチグチ言うんだ、だからうまくいかないんだよ。」
そして、それに対して女が何を訴えても話は途中で遮られるのです。
何を言っても携帯の通話をいちいちOFFにされるみたいに。
女の声は何も男には届かないのです。
そんな中、我々はというと、
「あの店で売ってるティーポットは、ポットとフタの部分が別売りなのよ。ポットのフタを買わずに、フタなしのポットを買っていく人なんているのかしら。それを考えたら、最初から一緒の値段にしてくれよ、けちくさい、って思っちゃった。」
「ふむ」
「でもね、聞くところによるとそのティーポットは色が5色あって、フタを別な色に変えたりできるのよ」
「なるほど。それなら別売りにするのもわかるね」
「そう、でも重要なのは、それ以前に高級グロッサリー店に行って、そもそも、そんなけちくさいことを言ってはいけない、ってことなのよ」
「マダムは何もそんなことは気にやしないさ、そういうことだ」
「そう、その店に来て、そんなけちくさい発想するなら、その店には行かないほうがいいわね」
って。
そして隣はもうおしまいになるかもしれない。
ドーナツ化はどんどん進むんだ。
いちどドーナツ化したら、もう戻れないことはよく知っている。
「じゃあどうするのか決めろよ」
「…」
「もうやめるか」
亭主は寝るときしか家に帰らない。
そしてついには、家にも帰ってこなくなったら、その時はドーナツも崩壊だ。
エンディングを見ずに、店を後にしよう。
我々には、満腹感にベットに横になる、至福の時間、そしてデブ化の道が待っている
「大喧嘩した時には、ああいう大喧嘩を見るといいかもね」
「どこにうんざりするんだかわからなくなるね」
「馬鹿馬鹿しくて、喧嘩してることにしらけちゃうわ」
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