[1] ビートたけし「芸人の実力が人気に追いつくとブームは終わる」
2012 02-25

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太平シローが死んじゃった。まだ55歳だぜ、早すぎるよな。「ツービート」と「太平サブロー・シロー」は、『THE MANZAI』や『オレたちひょうきん族』でも一緒だった。いろんな思い出があるけど、シローちゃんは実力のある芸人だったからね。いい芸持っていたのに、ホントに惜しいよ。

今回の訃報をきっかけに、サブロー・シローの漫才がテレビでけっこう流れてたけど、やっぱり面白いんだよな。話術も巧みだし、モノマネも笑えるよな。今の流行とは全然違う、懐かしい「味」みたいなものがあってさ。

テレビにしろ、世の中ってのは、死んでから「いい人だ」「天才だった」って持ち上げるじゃない。「じゃあ、生きてる間にもっと応援してやれよ」ってツッコミたくもなるけどさ。まァ、そんなこといってもしょうがないね。

シローちゃんは、芸はバツグンだったけど、実は精神的にちょっと脆いところがあってさ。

いつだったか、当時オイラがやってた『平成教育委員会』に、シローちゃんをキャスティングしていたことがあって。ある時、なぜか収録をドタキャンしちまってさ。オイラが「レギュラーで頼むよ」ってオファーした時には、シローちゃんはすごく喜んでいたのに、突然パッタリ来なくなっちまったんだよな。

その後、2、3か月くらいして「すいません、すいません」ってシローちゃんがオイラのところに謝りにきてね。オイラは「ゼンゼン気にしてないよ」「また一緒にやろうよ」って励ましたんだけど、結局芸能界からフェードアウトしていっちまってさ。今思えば、あの頃からちょっとうまくいってなかったのかもしれないよな。

まァ、シローちゃんもオイラも、80年代の漫才ブームで世に出てきた人間でね。今も第何次だかわかんねェけど漫才ブームだろ。正直、今の若手のほうがオイラたちの時と比べて技術的にはだいぶ上だと思うんだけど、それが人気や視聴率に比例するかっていうと、そういうワケでもないんだよな。

それが“ブーム”ってヤツの怖いところでね。技術的にはデタラメでも、芸の衝撃度とか物珍しさがあればブームになって、視聴率も上がるんだよ。だけど、芸人の実力が人気に追いついてきて「いい芸してるね」「技術があるね」なんて批評されはじめた頃には、もうブームは終わりに向かってるってことなんだよな。

これがエンターテインメントってものの難しいところなんだけど、実は技術的にうまいか下手かというのは人気商売ではあまり問題じゃなくてさ。要は、衝撃的で、新鮮で、もう1回見たいと思えるかどうかってポイントに尽きるんだよ。「うまい漫才」を見たいってんなら、オイラより年上の大御所の漫才師たちが視聴率20%以上バンバン取れなきゃおかしいわけだけど、そうはいかないだろ。

今のプロレスを見たってそうだよ。力道山が空手チョップで敵役のレスラーを張り倒していた頃には、プロレスの技術は低くても、今とは比べものにならないくらいの国民的な人気があったワケだよ。だけど、最近じゃいろんなプロレス団体が、アクロバットみたいなことをやったり、WWEみたいなドラマ仕立てのショーをやったり工夫してるけど、戦後の頃の客入りにはゼンゼンかなわない。まさに「成熟はブームの終わり」で、すべてのエンターテインメントってのは、技術が上がれば上がるほど食えなくなるという矛盾と戦っていくしかないんだよな。

(NEWSポストセブン)

以下、ネット上の声。
「俺はたけしには批判的なんだけど、これは納得の文章だな」
「お笑い芸人たちの技術の自画自賛は最近よくやってるよなw
お笑いブーム完全終焉に向かってるわけか」
「おれはプロレスは面白いと思ってる
でもお笑いは、正直ただ飽きられただけだろうと思う。
同じようなメンツばっか出すからだと思う」
「鶏が先か卵が先かって話だよな」
「ちゃんとしたネタ見たことない芸人大杉」
「タケシのころは漫才ブームだった。
今はバラエティーブームだろ。
だから芸人は便利屋として使われてはいるけど、必須じゃない」
「けっきょく司会者になりたがるよねほとんど」
「要約すると芸人てのは出オチであって芸術ではないってことですね。
そう考えると落語ってのは一線を画してるかもしれん。」
「ジャズが正しくそうなんだよね
今のジャズは基本がしっかりしていて技術的にはものすごく高いけど初期のジャズのような楽しさはない」
「これはわかるわ……。
漫画でもそうだよなぁ。
「これからこの話どうなるのかな、この作者どのくらい上手くなるのかな」っていう期待があるから続きを読みたくなるわけで…」
「ツービートの漫才見たことなかったけどyoutubeで探して見たら爆笑した」
「今の芸人に技術とかあるのか?
吉本のごり押し芸人しかテレビでみれないんだがw」
「ストンと腹に落ちる分析だな
次から次へと新しい技をだしたって素人同然の時代の自分にかなわないと言う矛盾」
「松本零士が言ってたと思うが、素人(未熟)の時の熱意がかなわないんだよねw
絵は下手だけど、絵にこもった熱意がものすごく伝わる。お笑いでもなんでも売れたい!って熱意ががむしゃらにさせるし、危険なことも実験的なこともできる。」
「技術がない頃は滅茶苦茶でも、感性の赴くままに表現するが
中途半端に技術を覚えてしまうと、小手先の技術に頼ってしまうからだろうな」
「ブームが起きて、大量にゴミが生産されて、それに嫌気がさされて、ブームが縮小してきたら最終的に実力のある芸人だけが生き残る。
こうじゃないかな?」

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