投稿日05/22 00:47
「インフル以上の悪寒。」
香魚子
※お食事中の方はご遠慮下さい。
彼奴が現れた。今日。5月21日まで出会うことのなかった彼奴に。エンカウント。吾は、邂逅した。此れは運命か。未だ嘗て見たことがなかった彼奴。平穏に過ごせた19年間と11ヶ月はなんと素晴らしかった事か。
「くっちゅいてます」そんな申し訳程度についた玄関。その扉を開け、電灯の光が射し込んだ瞬間。あの流線形の流れる…そう、空気抵抗を受けにくく進化した彼奴が過ぎ去った。アー●ンドチョコくらいの。
「まっく●くろすけ」だ。そうに違いない。さあ出てこい。目玉ほじくってやらあ。否否否!違う!アルファベットの7文字目なんかじゃあない。FとHの間の、その頭文字を持つ其れ。
感想を云おう。初めて見た。悲鳴もなかった。リアクションのキャパシティを超えた。ただただ呆然とするばかりであった。金属製のドアノブがややじんわりと人肌程度に暖まっている。平素がさつき気味の掌に汗をかいた。潤ってきた…掌?いいや、黒い感情…それは今までに感じたことのない嫌悪、そして憎悪。それほどまでに、彼奴のインパクトは大きかった。
屋外の部活ですっかり虫なんか慣れたと思っていた。
蜘蛛も蟷螂も手掴みで草地(または水中)へとなんなく葬ってきたからだ。
違った。慢心だった。驕っていたのだ。彼奴の前では、吾の所詮は仮初めである「害虫駆除」の自信は粉々だ。フードプロセッサーでひたすら撹拌された粉類の如く。
漕いだ。今まで一番自転車を必死に漕いだ、吾。うっすら額には汗が浮かぶ。冷や汗か?冷や汗なのか…?コンビニを初めてありがたいと思った。店員の男性はひどく眠そうだ。眠くなるくらいのその心のゆとりを分けてくれ。
震える手で彼奴退治に素人がメジャーであろう考える「某ホイホイ」をレジへ放る。店員の目が僅かに開く。
…そうだ。出たんだ。他の理由で深夜のコンビニになんて行かない。
目が合った。「ご愁傷さま」瞳の色は…憐憫。(多分)哀れまれるのは嫌いだ。同情なんて糞喰らえだ。だが、今だけはそれが嫌ではない。と、云うかむしろしてくれと云った心持ちだ。人間てのは勝手なもんだなと思う。
店員の「ありがとうございました」…副音声は「頑張れよ!(願望である、あくまで)」その声を背に受け自動ドアからするり抜ける。
こうして彼奴との戦いは幕を開けた。
(続)?
※効果的な抹殺方法知りたいです。
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