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[ 12 ] ◆
** PC名:リエルエン・レナウェル **

(――唯でさえ治安のよろしくない魔都の中でも更に危険とされる酒場の密集したエリアへより危険な時間帯に足を運んだのは、フォルテラ聖王国へ遊びに行く前に軽く腹ごしらえでもしておこうかなと何時もの気まぐれでそう思い立ち、魔都で沢山の魔族(にく)が集まる場所と言ったらやっぱり夜の酒場だよねと考えたからで。それでも、まー"ちょい弱(マズ)"くらいの"肉"でも見つかればいいかなー、といった程度の心積もりで特に期待せずぶらぶら歩いていると、不意に予想外の性能(におい)を感じ取って思わず立ち止まる。それはこの場にはまるで似付かわしくない程に上質で、とても濃いもので、非常に食欲をそそり……そして、よく知ったものであった。立ち止まった場所のすぐ横に建つ、銀貨と楽器を組み合わせたデザインの看板が掲げられた酒場のドアをばん、と勢いよく開いて中に入ると、迷うこと無く壁近くのテーブル席に座る人物のほうへと真っ直ぐに近づいて行き)

「はいちょっとどいてねー……うん、やっぱりヴィクだ。やっほー!
ねね、こんなところで何してるのー? この辺にヴィクの口に合うようなお酒を置いてる店なんて無かったと思うけど」

(目の前の物を軽く払い除けるといった程度の気軽さで、自分と目的の人物の間に立つ魔族達の一人の首へと腕を振り抜けば、めき、という音と共に魔族の身体が横へと吹っ飛ぶ。そして吹っ飛んだ先にある岩石で出来た別のテーブルにぶつかって跳ね上がった身体がテーブルの上に叩きつけられて、それでもまだ消失しない運動エネルギーによって皿や酒瓶等を薙ぎ倒しながらテーブルの向こう側へと転がっていく騒音を無視して、何やら変装でもしているかのような格好の、しかし間違える筈も無い性能(におい)の相手に片手を挙げて笑顔で名前を――今の名ではなく、自分が知る彼という個人を指し示す昔の名を――呼ぶと共に問いを放ち)

>入室

** 投稿日時:2022.09.04 11:53 ** [ 編集 ]
[ 13 ] ◆
** PC名:コンスキウス **

(酔っ払いが他の客に絡むなんて気にもとめない些細なトラブル、その解決が突然やってきた人型の暴力が絡んだ酔っ払いの首根っこを吹っ飛ばすというのは、もはやその手の事故だろう。実行したのが炎のような少女であっても、少女の形をしているからこそ彼女へ後始末をしろと因縁付ける者はないだろう。尋常ならざる実力者を前に恐れを抱き、口を閉ざしたのは死体が飛んできたテーブルの客ばかりでなく件の酔った徒党どもも同じ。先ほどまでの勢いをすっかり失い血飛沫のついた顔を突き合わせ、そさくさと立ち去ろうとしていて。飛んできた血を浴びたのは自分も同じ、正しく言えば飲み掛けのグラスにまだ暖かい血が入り込み、赤い色を薄めながらも全体に広がっている最中で。彼女の行いに害意なり苛立ちなりの予兆があれば対処できたろうが息するように行われては反応も遅れるというもの。むっとした調子で気安い呼び名の訂正を求めたところで、代わりになる名がないことを思い出す。ここ最近使うのは確かに皇族らしからぬものだが要人のものという認識そのものは民草の間にも広がっていて、それを名乗ると変装した意味がなくなってしまう。故に子供を相手にするような呼称についてはうやむやにしてやり、代わりに言葉に反し不機嫌そうに顔を顰めてみせて)そう呼ぶのは、…いや、人の酒に血飛沫浴びせて言うのがそれとは随分と出世したらしいな。二ヶ月遅れの重役仕事もしていたようだし、景気がいいらしくて俺も嬉しいよ。

** 投稿日時:2022.09.05 12:30 ** [ 編集 ]
[ 14 ] ◆
** PC名:リエルエン・レナウェル **

(こちらの問いに答えず、不機嫌そうな顔で紡がれる言葉を聞いて視線を相手の手の中にあるグラスへと向ければ、先程払い除けた魔族が一撃を食らった際に吐いたのであろう血によって薄紅色に染まりつつある液体がそこにあるのが見て取れて、あー、とやっちゃった感を滲ませた呟きを零しながら件のグラスへ手を伸ばすと、立てた人差し指で酒の水面に触れて――ぼわ、とグラスの中身が一瞬だけ燃え上がったかと思うと、そこには元の透明さを取り戻した酒があった。そうして酒に混じりつつあった血液を【戦火】で燃やすという目論見が無事成し遂げられたことを視界で確認すると、伸ばした手を引っ込めて)

「そりゃー、何といってもボクってば栄えある六魔将サマの一人だしー? ……なーんちゃって、ゴメンゴメン。お酒を汚しちゃったのはワザとじゃないんだからそんなに怒らないでよ、ね?
……アハハ、ボクの働きっぷりが大雑把なのは何時ものことじゃん、気にしない気にしない! ――で、こんなところで何してるの? あ、もしかして秘密の逢引の最中だったとか!?」

(反省の色が全く窺えない声音と口調で謝罪すると、すぱっと話を戻して最初の問いを繰り返す。ただ、一度目と違って今回は勝手な推測というオマケ付きで、体温(ねつ)を微かに上昇させながら両の頬に手を当てて驚きの表情を浮かべ)

** 投稿日時:2022.09.06 11:59 ** [ 編集 ]
[ 15 ] ◆
** PC名:コンスキウス **

…まったく。お前らの尻拭いをしてやるのは内ゲバまでだぞ。(拠点一つ、集落一つを焼き落とす人の形をした炎という印象を強く持つ相手だが混ざり合った血と酒をより分け燃やす芸当が可能とは。自分の理由で怒るのはどうにも不得手であるから、それ以上の好奇を提示されたなら意識が逸れてしまうのは仕方ないこと。元通りの透明度を取り戻した酒にさっそく口をつけ、錆臭さのない味に変装用の眼鏡の下で大きく瞬きを数回。半ばポーズとして不機嫌をしていたから、まるで機嫌を直したように見えるかもしれず。彼女と書いて今日はお留守番の魔剣コンスキウスと読む、それは恋人も愛人も婚約者もついでに友人すらろくに持たない理由のためでっち上げた物でしかない。そうした言い分を相手がどれだけ信じているかは置いといて。彼女の美食家というか偏食家というか、独特の言語センスを思えばもっと暗い通りにある普通ではない飯屋の通りに出入りをしていそうなもの。元々氷も入っていないグラスを揺らし、空いた席を示し座ることを許してやりながら)ばぁか。彼女いるのにそんなことするかよ、俺は一途なんだぜ。ただの気分転換だ。それならお前こそ、この辺は普通の飯屋しかなかったと思うが。

** 投稿日時:2022.09.07 19:46 ** [ 編集 ]
[ 16 ] ◆
** PC名:リエルエン・レナウェル **

(やれやれといった風な感でこちらの働き具合を窘める相手であったが、その表情からは先程までの不機嫌な色が消えているのを見て、ホッと内心で胸を撫で下ろしつつ表にそのような安堵を出すことはせずに、はーい、と軽い返事をすると、示された席に遠慮無く座り)

「なーんだ、つまんないのー……ん? ボク? ボクはこれからフォルテラまで遊びに行くんだけど、その前にちょっとお腹に何か入れておこうかなーって。ほら、この時間ならこの辺に沢山の魔族(にく)が集まってるでしょ? 母数が大きくなればなる程、ちょっとはマシな"肉"を見つけられる可能性も上がるからねー。ま、今のところはヴィク以外、さっきの"肉"も含めてハズレばっかだけどさ。
それにしても、気分転換ねー。だからそんな格好をしてたんだ。何だか変装でもしてるみたいとは思ってたけど、マジの変装だったってわけね……うん、それなら"一途"なヴィクが"彼女"を連れてないのも納得だよ。あんな目立つ魔剣(かのじょ)が一緒だったら、どんな変装をしてても意味無いし」

(自分が今日ここに来た理由を答えながら先程酒に触れた人差し指を、ちろ、と舌先で舐める仕草を見せて、それから一度はここから立ち去ろうとするもプライドが邪魔をしたのか、それとも成り上がりのチャンスだと考え直したのか、足を止めて遠巻きにこちらを――怒りと恐れの感情が混じった目で――睨んでいる、相手に絡んでいた魔族達のほうを横目で見遣る。そして、こちらの視線を受けて一歩後ずさる魔族達から相手のほうへと視線を戻すと、相手が口にした一途という言葉をからかい口調で復唱しながら、相手が己の代名詞とも言える得物を持たずに居ることについて納得するように頷き)

** 投稿日時:2022.09.08 12:19 ** [ 編集 ]
[ 17 ] ◆
** PC名:コンスキウス **

…ああ、なるほど。向こうは殺しも失踪もうるさいからな。祭りに行くならこっちにいる間にたっぷり食えよ。存分に楽しんでこい。(先ほど一人殺し、まったくの自然体で更に食い殺すと言われて波立つ心は自分の内に存在はする。しかし諸国が足並み揃えて行う鎮魂の祝祭のせいで蘇った死者の魂が還ってしまったら、根拠のない不安だが祈灯祭へ冷や水浴びせてやりたい理由に足りてしまって。卑劣でおぞましい物言いと理解しながら、かつて確かに死した皇への執着故に彼女の"食い溜め"に微笑み、改めてその行いを肯定してやって。そうして彼女につられるように自分に声をかけてきた一団を視界に捉えて。丸腰の金持ちと見抜いた点は悪くないのだが圧倒的に運がないのだろう。武勇名高い魔将の気まぐれの後始末は一戦交えることもできない差を見せつけられた彼らが行うことになるだろう。店員と客の数だけ交錯する思考の音の中、彼らからはどろりと暗い怒りとも屈辱ともつかぬ思考が確かに混ざっていて。どう思われようと丸腰のまま制圧する自信があるからと、それより優先度が遥かに高いリエルエンへと視線を戻して。事実無根の言い訳とはいえ憎からず思う物と深い仲だと改めて言葉にされると恥ずかしいような、からかい言葉であると見えてしまうせいで余計に居心地悪いような。無理やり話題を変える顔は日に焼けたような肌の色に紛れつつもうっすらと上気していて)い、いちいち繰り返さなくていいだろ…とにかく、そう。そうだ、お前昼間に俺のことをそう呼ぶのはやめろ。何のために、あー、コードネーム。いつも使ってると思ってるんだ。

** 投稿日時:2022.09.09 21:16 ** [ 編集 ]
[ 18 ] ◆
** PC名:リエルエン・レナウェル **

(複雑な潮流を描く相手の内面(こころ)も微笑みで糊塗されてしまえばこちらからは分かる筈も無く、楽しんでこいとの言葉を額面通りに受け取ってにこやかな表情と共に首肯する。そして、こちらの言葉を受けて恥ずかしそうに肌をうっすらと上気させながら露骨に話題を転換させようとする相手の様子を見れば、くすくすと笑みを零しながらも相手の望み通りそれ以上"彼女"について触れることはせずに、振られた次の話題に応対して)

「うん、そうする。……んー、でも機会があれば神将の"肉"とか一度食べてみたいんだけどねー。お城に突撃でもすればそんな機会が来たりするかな? 流石にそんなレベルの無茶苦茶は勝手にやったりしないけど。
……えー、何で? 昼であろうと夜であろうとヴィクはヴィクじゃん。何のためって言われても――まー何となく想像はつかないでもないけど、でもそれはヴィクの問題であってボクには何の関係も無いし」

(歴代の魔皇帝達とその周辺の人物達――主に両親や兄弟姉妹――は何時か最高の"肉"になるかもしれないという意味でとても興味深い対象であり、これまでずっと積極的に観察を続けてきたし今も変わらず続けている。無論、ちょくちょく無遠慮に首を突っ込むことはあっても四六時中べったりと張り付いているわけではないので、彼ら彼女らの全てを細大漏らさず正確に把握しているとは当然言えないが、それでも外部の者達よりは遥かに多くのことを見て、聞いて、知って、そして記憶している。だから、例えば眼前の彼が本名とは別の名を用いている理由については、彼と彼の兄、そして彼の兄と同じ存在であると同時に違う存在でもある当代の魔皇帝……以上の面々に纏わる、またはごちゃごちゃと絡み合うあれこれから想像することは可能である。まあ、その想像が的を射ているのかそれとも盛大に的を外しているのか、それは当人に聞かない限り――或いは聞いたとしても――分からないことであるが、想像の当否については興味が無いのでわざわざ分かろうとも思わない。なので、自分が知る範囲のあれこれから作り上げた想像の内容については口にせず、自分の中で出ている結論だけを告げると、相手に対して垂直に立てた掌を左右に振りながら要求を拒否して)

** 投稿日時:2022.09.10 12:37 ** [ 編集 ]
[ 19 ] ◆
** PC名:コンスキウス **

そうだな。……そうだ、そうだよ無茶だ。お前は話が早くていい、いつもより警備が厳しいかもしれんががんばれ。(彼女も無茶と評する行いに心当たりがあるように首を左右に振り、忙しさの要因を思い出したかのように生ぬるい言葉を返して。その無茶を行った男のことを話のわからない愚鈍と認識する訳ではないのだ。ただただ、思考を覗き見た程度では彼の判断や価値の基準を全く掴めていないというだけで。うっかり宮殿のことを考えた拍子に保留の案件を思い出してしまったために残った酒を一気に飲み干し、強い刺激でごまかし何も思い出さなかったことにして。彼女が十六年前の顛末と面倒な形で落ち着いてしまった関係をどう見てどう思っているかは問題ではなく、あくまで叱責の対象になりうるという警告が主。飲み足りなさそうに空のグラスを揺らしながらあくまで猶予はあることも添えてやって。何回見返しても空っぽのグラスを置き、このテーブル近くに全く近寄る気配のない給仕を呼びつけて追加の酒としてエールを注文しよう。女給仕は同席するリエルエンにも注文を伺うだろう。どうせツケなので大概のものであれば止めはしないつもりで)事情はだいたい想像の通りだろーよ。お前は強いから同じで大丈夫だろうが下が混乱するからほどほどにしろ。なにかあった時に加減するの苦手なんだよ。…追加でエール。

** 投稿日時:2022.09.11 18:29 ** [ 編集 ]
[ 20 ] ◆
** PC名:リエルエン・レナウェル **

(唐突に何やら嫌なことでも思い出したかのような喋りと仕草を見せてグラスに残った酒を一気に呷る相手の様子に、まさか自分が今し方口にした"無茶苦茶"を既に実行した人物が居るなどと露程も思っていないこちらとしては、相手がそのような様子を見せる原因が分からず不思議そうに首を傾げるのみで)

「? あ、うん。よく分からないけど頑張る? よ。
……むー。はいはい分かりましたー。気が向いたら程々にするよー気が向いたらねー。あ、ボクはえーと……そうだなー、何か甘いものちょーだい」

(警告混じりの注意に対して如何にも不服そうに唇を尖らせながら、ぐてーとテーブルに上半身を預けて両腕を伸ばすポーズを取っての、承諾と服従を示す言葉に果たしてどれ程の誠心誠意が含まれているのか、そもそも聞き手である相手があるかどうかも分からないこちらの誠心や誠意を汲み取ってあげようとわざわざ親切心を発揮してくれるのかどうか、全くもって分からない無茶振りのような応答で呼び名についての話をさっさと終えると、呼びつけられた給仕からの注文伺いに上半身を起こして少し考えてから雑な注文を行う。そして、先の騒動に加えてこのテーブル席周辺を覆う、こちらからすれば当然の、しかし向こうからすれば原因不明の熱気によって、出来る限りこちらに近寄(かかわ)りたくないと考えている給仕が、雑な注文に対しても文句の一つも言わずに「かしこまりました」とだけ答えてそそくさと立ち去る後ろ姿を見送ると、相手のほうへと向き直り)

** 投稿日時:2022.09.12 12:16 ** [ 編集 ]
[ 21 ] ◆
** PC名:コンスキウス **

(この酒場に真っ当な甘味が正規メニューとして存在するかはさておき、強さを見せつけた彼女が注文するならそれらしいものが出てくるだろう。ホールを歩き回る給仕役ならともかく、カウンターからこちらに視線を向けた店主辺りは自分の素性もまあまあ察しているから余計に。酔客に絡まれていたさっきまでと違い、今は店内で横暴する理由がないので、人は死んだが自分の起源は良いことを教えてやるため店主にほほえんでやって。そういう色々のせいでかジョッキに注ぐだけの醸造酒はそれにしたって出てくるまで早く、どかりと置かれたジョッキから酒が微かに零れて。温度も度数もぬるい酒に口を付け、対する彼女の注文を思い返す。甘味を求める姿は可憐な少女らしいといえばそうなのだがいかに乙女の装いをしていても彼女がかつて巻き起こった戦火、そこから生まれた獣であることを思えばどうにも控えめな調子に思えて)俺は大マジのマジだからな。…ああでも注文、あれだけでいいのか。そこは遠慮しなくていいのに。

** 投稿日時:2022.09.13 22:54 ** [ 編集 ]
[ 22 ] ◆
** PC名:リエルエン・レナウェル **

(こちらの態度に念を押すように重ねられる言葉に対して、わーこわーい、と最早聞き流していることを隠そうともしない棒読みで返事をしつつ、注文の品が届くまでの暇潰しに前髪の毛先を摘まんで弄る。そして、やけに早いタイミングでこちらに近付いてくる給仕の姿を視界に捉えれば、前髪から指を離して運ばれてきた品を見るも、テーブルに置かれたのが相手の注文したエールだけであることを確認すると、つまらなそうに嘆息して)

「まーだっかなー、まーだっかなー、何っがくっるのっか、知ーらなーいけーれどー♪
……ん? うん、あれだけでいいし別に遠慮とかしてないよー? だって"肉"と違って何らボクの命(ちから)にならない、知識(どく)にも技術(くすり)にもならない唯の嗜好品(ごらく)みたいなものだからねー……あ、来た来た。わー、いい香りー」

(アバウトなリズムで現在の心境を歌うという先程とは違う暇潰しを行っていると、ジョッキを傾ける相手からこちらの注文内容について疑問を投げかけられたので、ヒラヒラと手を振りながら答えを返す。自分にとって食事と呼べるのは"肉"を食べている時だけであり、それ以外の物は食感や風味、力(あじ)ではない味そのものを楽しむだけの、正に今言った通り毒にも薬にもならない嗜好品でしかなく、娯楽の一環でしかない。と、丁度こちらの発言が終わったタイミングで三度やって来た給仕が、薄い紅色の液体が注がれた氷入りのグラスをテーブルに置いて足早に離れていく。何か甘いもの、という注文に対して店主が用意したその品は、ブラッドフォックスという動物が体内のある器官で作り出す毒液で、確かに舌がとろけるような甘みを持つのだが致死量僅か0.001mg/kgという超が付く猛毒であり、何をどう解釈しようとこれを飲み物と呼ぶのは無理があるだろう。ちなみに、この毒液は特徴的な甘い香りを放つので分かる者ならすぐにそれがブラッドフォックスの毒液だと分かるのだが、果たして店主は分かった上でこれを出してきたのか、それとも何も知らずに香りだけで甘いものだと判断したのか――少なくともこちらは分からない側に属していたので香りに対しては感心の声を上げるだけで、まずは一口含もうと手に取ったグラスを口元に近付け)

** 投稿日時:2022.09.14 12:37 ** [ 編集 ]
[ 23 ] ◆
** PC名:コンスキウス **

ふうん、ヒトの食べ物は徹底して娯楽か。…遠慮してないならいいや。足りないならなんでも頼んでいいからな。(明々と鮮烈な色の髪をはじめ彼女は確かに魔族ではないのだが、そこから更に尋常の生物を一歩外れた生態をしていると知っていても理解や実感は些か遠いもの。自分もヒトの魂をそのまま食らう術こそあれど主とした養分は経口摂取に偏っていていて、彼女の言い分が理解できるようなできないような。とにかく体質故の注文だとわかったので頷きを一つ、なんでもと言ったところで一般庶民向けの店で言うなんでもはタカがしれていると気楽に言い放ち。そうこうする間に届いた飲み物はあまり見たことのない、カクテルか何かのような見た目で。華やかな雰囲気にふさわしい甘い香りは宮殿でもそうそう嗅ぐことのない上等なもの、それは昔覚えた毒の気配。毒性の強さゆえにそのものを摂取させられたことはないけれどどんな匂いがしてどんな見た目で、口にしたならどんなふうに苦しんで死ぬか、奴隷(きょうざい)を使って教わったことを忘れないだろう。故意か事故か見えないまま彼女が死にかねない状態ということだけは明白に理解し、笑うような形で口元が引きつって。可能なら手首を掴み、口に運ぶ邪魔をしようとして。そんな方法で止めようとするなら夏季用の薄い手袋では人間体でも彼女の熱を阻むには足りず、生物としては高すぎる体温を感じることにはなるがためらうそぶりはなく、ただ冷や汗が首を伝って)あんま見ないの出てきたな。…お前毒盛られてるぞ飲むなよ。心当たりは?

** 投稿日時:2022.09.16 08:10 ** [ 編集 ]

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