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[1] 少女の見た夢。
By 紅魚
06-28 21:01
 
見えたのは白でした。
風が酷く温(ヌル)かったのです。
彼の人の背(セナ)は虚ろに細く
軟水のように緩やかで
そこで溺れることも出来ません。
有り得ない桃源の底
拡散の手足が百八つ

汽車の律動が遠くからやってきます。
瑠璃鳥の聲です

意味もなく駆ける
水を得たように、はしゃぐ
あの背(セナ)に触れたら
呑んで貰えると夢想したのです

静かに降るあれは何でしょう
何だかとても生きている気がしないのです

何處かで萌芽の音がします
夜が明ける、
空には月二つ。
尾鰭のある赤いのと
鱗のある白いのと
滴るようについてくる
まるで
そう、
眼球のようです
標本にしたいような。

口を開けば
りろりろと音がする
夢ばかり見るから
とうとう入り切らなくなったのです
困ったことにあたしは
雑音を抱えたまま
世界地図を指差しながら
彼の人に尋ねなければならない

「これはあなたの落とした卵ですか、」

彼の人の笑みは
きっとメサイヤのようです。

水滴が落ちて
空気に波形の動揺が押し寄せる
何處かで萌芽の音がします
砂時計とメトロノォムが張り合えば如何なるのかを
あたしは知りません  


Mail
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[2] By 紅魚
07-31 02:28
実際に見た夢から喚起された、
流動する情景。

彼の人が誰かは、
秘密、です。
V803T
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[3] By XXXXXXXXX
08-30 02:11
夢とは時に無秩序であるようで、実はそれなりの秩序を持っているものです。

ただその秩序は常識とは違い、自分の中だけで通用するモノですから、無秩序に見えるのです。

この詩には、そんな無秩序さが、他の詩に較べても、少し目立つような気がします。
表現としての体裁が崩れる、半歩手前くらいでしょうか。



この詩の主な感情は、彼の人に対する感情でしょう。

それをよく表す表現は、
呑んでくれる、
二つの月、
萌芽、
などでしょう。ここによく表れていると思います。
穏やかな、頼りがいのある背中、白は、白いシャツ―爽やかさ、仕事にゆく人間、つまり父、などの連想があり得るでしょう―を、喚起します。
二つの、寄り添う魚のように、標本にして、永遠に。
彼の人への気持ちは、今にも芽生えんとするようです。

救世主のような微笑みで、少女の世界を産み落とした、彼の人。

それが夢想であるということが、切なさを誘います。

叶わぬ願いが込められているような、そんな印象を受けました。
W42H
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