林檎飴 - MBBS

[1] 秘密（with ISANA)
By 紅魚

09-28 19:43

次に見上げる空は
もう、秋の色。
曖昧だけれど、
散歩には猫を連れていこう。
得意の一礼で、
お月様にあいさつをさせよう。

ざわり打ち寄せる夜空に
水色林檎飴つけた水仙と
おおきなおおきな、おおきな。

ごぅんごぅん、
と鳴るから、
手、とどいたなら
世界いっぱいに満ちたキミを抱き締めて
鳥居の奥に隠したい。
一枚、二枚、数えきれない裾を引きはじめる神社の、
なんだか
向かい合わせの
毛の生えた生き物の匂いが、する、秋、の、

キミは、
くるむ秋の風です。
柔くつつんで巻き上がり高い空に運ぶ、
大きな掌のそれです。
染まる(孕む)微かな水の気配が、
少しだけ、哀しい。

ね、
もうじきまぁるい夜がくるよ。
一番おおきい夜だよ。
あたしたちも、
まぁるくなろうよ。
はやく！
はやく！
世界にきづかれないうちに。

じゃないとさ、
秋がキミを連れてっちゃうよ。

「つれて、っちゃう、ね。」

猫とこっそり内緒話。
どうやって
キミを宇宙に連れだすか。
（まずは、あたしがおつきさまをにらむでしょう、）
そうしたら月は目をつぶるから。
（ねこは、おつきさまをしばっちゃえ、）
その隙に、
その隙に、
空のキミと海のキミを、
すり替えてしまおう。
おおきなおおきな青、の背に乗って、
こっそりこっそり盗んでしまおう。

たとえ世界中の秋がキミを求めてあたしを目の敵にしたとしても！！

あたし、
ずるい秋になんて負けないから
キミ、
あたしと手をつないでくれるよね？
一緒に、行こうよ。
キミは秋の匂いがするけれど、
それでも、キミが好き、
なんだよ。
（もちろん猫も、ね。）

ざわめく秋の真ん中で、
ふたりまぁるい夢になろう。
まぁるいは優しいから、
お月様も、
片目つぶって、
ゆるしてはくれない、かなぁ。
まずは、一礼しなくちゃね。
静かに、静かに。
こっそりと、
だれも起こしちゃわないように。

こっそりと。
こっそり、と。

画像

V803T
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[2] By 紅魚

01-09 16:31

いっくんと。

810SH
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