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[1] 朝
By 紅魚
12-31 22:31

りんご甘そうで、
きみは眠そうで。
とろり、とろり、
朝、だよ、って。
(ねぇ、おきてんの、)
あたし、上目づかい。
虎視眈々。
ほんとはきみも、甘そうで。

(おきて、る?)
問いかけに微笑みの謎ひとつ、残してゆくから、
夢、覗いてみたい、
なんて、
俯せ、頬杖、空いた手でほっぺたつまんでみたり。

蜂蜜みたいだ、
琥珀色の。
ご機嫌なお月様とおんなじなのね。
とろり、とろり、
ふわり、してる。
掴めそうで、掴め、ない、な。
くすぐっちゃおうか。

りんご甘そうで、
きみも、甘そうで
あたし、ひとり、おいてけぼり。
すねてたら、不意打ち、
釦、羽衣、指先、
お魚。
(やだよ、やだ、やだ、)
だめ、なんて、
かじるよりかじられるほうが甘いこと、
気付いてしまった。
そんなのって、狡い。

りんごの匂いにごまかされそうです、
時計が刻む流水は澱まないって。
空は未だ明け切らなくて、
やっぱりきみは、眠そうで。
(ああ、あ。
また、寝ちゃった、の、ね)
小さな四角にきみ閉じ込めて、
時間停めた、つもり、
にて、満足の、つもり。
きみの隣にもぐりこむ、しあわせ。
ためいき。

りんご甘そうで、
りんご甘そうで、
甘そう、で。
俯せ、
はらぺこ
はだかんぼ、
はんぶんこ。
きみの肩口のまろみの方が甘そうだったって、
それは内緒、
なんだけど。

ねぇ、テレビがついていたよね、
嫌いなアイツが我が物顔でさ。
ようやく明るくなった部屋に、
まんぞくのお腹とりんごの匂いときみと、
それから丸まったおふとん。
これこそ、完璧な朝のありようだって、
あたし、
そう思ったのにさ、

甘そうなきみは、
やっぱり甘くて、甘くて、
結局またすぐに、
お腹すいちゃったんだ。


810SH
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[2] By 紅魚
01-09 16:36

優しい、朝。

いいぢゃん、
別に。


810SH
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[3] By 紅魚
03-30 23:08
 
【夜】
 
海、みたいな、白。
世界が水に呑まれた夜、の、秘密。
彼の人の掌は軟水みたいに緩やかで、
あたし、
正しい呼吸を忘れて。

待ち侘びた桃源の底、
拡散の手足、百八つ。

波の律動が遠くからやってきます。

絡む、

  解ける、

 指先。

    また、

  声。

こえ。こえ、こえ。

水を得たみたいに、はしゃぐ。
あの背(セナ)に触れたら
呑んで貰えると夢想していまし、た、
から。

静かに降るこれは、何。
夢見心地。
何だかとても生きているよな、気がしなくって。

どこかで萌芽の音がします。
標本にしたいような、時間の流れ、
止めたい、掌。

口を開けば
りろりろと音がします。
涙。
ちたちたと、
じわじわと。
そしてとうとう入り切らない。
水滴が落ちて、
空気に波形の動揺が押しよせる。

どこかで萌芽の音がします。

砂時計とメトロノォムが張り合えばどうなるのかを、
あたし、
知りませんでした。


810SH
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