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[1] 式日。
By 紅魚
03-28 19:01
 
風が酷く騒がしくて、
見透かされたことに震える迷い星みたいですね、
胸が。
さらさらと、
触れた場所からさらさらと透過しながら、
やさしい粒子になって
零れてゆくこと出来るでしょうか。

そこらじゅうに満ちた春に守られるみたいな、
やわらかなやわらかな、朝。
はしゃぐ冬の生き物のやさしい声になぜられて、
飽和した雲と張り合ってるなんて、
きづかないでいてくださいね。
溶け出したからだが、
酷くやわらかな流動性の何かになって
どこまでも伸びてゆくようで、
もうそれがうれしくて、うれしくて、
結局は、
どうしようもなく笑ってしまいますから。

でたらめの足取り、
こどう(Andante)こどうこどう(Presto、presto!)。
先行く背中の、先、の先、
長い水平を見つめて、
あたし、
世界はまるい、なんて、それで、
腕回して捕まえたのです。
(なみが、よぶのでしょう?そんなにうれしそうな、かお。
でもね、うでのなか、まぁるい。
だから、ねぇ、)

触れた場所からさらさらと、
かたちなくしてゆくみたいに離れられなくなって、
借り切った春の片隅、
頬寄せて交わすないしょの後には、
ふたり、
ひっそりと撫で合うように笑ってしまう。
まるで約束していたみたいに。

あんまり夢中ではしゃぐから、
ほら、
背中押す風も、遊びたそうです。
かもめがはやすみたいに鳴き交わして、
烏は、諦め顔のひとこえ。
繋ぐ指先が呼び合うみたいに波を手繰って、
歓声。
それから沈黙の視線は融解して流れて、
海。

一心不乱に身を寄せる手を伸ばす、戯れる。
倒れ込んだ先の空の白、に、目を臥せる。
体温。
ひとかけの季節、零さぬよに分け合って、
大事に大事に囓じるみたいな、
それは、
ふたりだけの式日でした。


810SH
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