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[1] 批評家六十億の餌の一幕/変な男
By 変な男
08-31 05:05

 そして、道は化けた。本来の道としての役割を無くした、湿った土の一本道である。ものの何人かが、しかも見えぬものが、通行する、まるで需要のない道であるが、彼らのために道は開かれた。彼らは皆、同一の存在であると言われている。人々が噂したわけではない。その価値のない話であると誰かが噂したらしい。そして道を挟む、芒の群生する茫洋たる大地。不安定な存在は不可視なものとして確かに存在し、道化になれない。確かなものが天国に置き去りにされた後、不確かなものは旅立っていった。か細い芒。虚ろな木偶は、その体躯を、何ヵ月ぶりかに感じられた風に靡かせて、褐色の童謡を唄い始めた。音程はない。ただ不揃いな、然し、よく似た、乾燥したノイズを撒き散らしては、飛ばして、撒き散らしては、飛ばして…。軈て道は意図して幅を狭めた。〈化を強めた〉


 道は時差惚けをし、夕焼けと朝を丸めて、くしゃくしゃにすると、幅二メートルもない薄暗い道のはじっこに捨ててしまった。それが化け物になって顔を出す日は近い。ぽつりと朱色に明滅する紙屑から、逃げるように、その光によって形作られた影達が二体、走り回っている。だが走り回っても光の範囲から出る事はできず、彼らは、或いは彼は、同じ場所をくるくるくるくると蟻地獄の渦まきに沈みゆく虫のように、必死にもがいているように見える。まず、これは芸術である。


 更に、暗い道の先では、二次元の葬式をしていた。決してその列は、彼らに道を譲る事はない。姿のない気配だけの、気配さえ不確かな不吉な行進に交わって、一人だけ列に混じる幼児は道を歪めてしまって…。その内歪みは、地震の後のコンクリートのように緩やかなバイオリズムを形成し、影達を含めて、全てが圧縮されていく。芒が激しくかさかさ音を立て絶叫している。まるで全てが真空パックの中の世界に変わったように、圧迫の強さは増幅していく。影の一人は細長い一本のマッチ棒のようになりながら、ピクピクと痙攣している。もう一人の方はなんとか抵抗し、身体を空気で脹らませているようだったが、軈て潰れた。それと同じくして、歪んだ全てのものが一斉に、弾け、飛び散った。


 忘却は撹拌。電波に乗る実体の跡。誰も居ない。個別のものから同一になれない。そうやって道は化けた。それは見えない。芸術である。



 そして、世界の唯一の痕跡、散文の山に変わったあの道、影のパーツの一つ一つが、虚ろな駅のホームに散乱し、真っ赤な血を噴き出している。そこへ、灰色の雪が虚空に聳える空中都市から降り注ぐと、軈てそれは、賛美と否定の重唱の歌へと変わった。
930SC
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[3] By 変な男
08-31 15:17
>>2
感想とご意見ありがとうございます。おっしゃるように、確かに小説のような描写になりましたね。所謂散文詩です。理由としては今までの比較的自由な詩では自分自身に進歩は望めないと思った事です。技術的にも、精神的にもです。この分野に挑戦すれば、小説の才能も上がり、伝える力の向上も期待出来る。それから制約のある詩では難しいですが、描写をより緻密にし、映像や普段とは違った言葉の連なりを楽しんでいただきたいという考えもあります。


改行の件ですが、小説的な描写の詩を頻繁に改行すると、違和感があるような気がしていましたので、一定の間隔を持って改行したつもりだったのですが、読みにくくなっているとしたら私の文章力の問題もあるのかもしれません。取り敢えず指摘していただいた事に関しては考えておきます。
930SC
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[2] By エビフライ
08-31 08:19
どうもエビフライです。

まず、僕個人の感想として
最近の変な男さんは…
一種の『小説の様な物語性』が
ある作品になってると思います。

それは、前の名の時とは
また異なった作風になった
気がします。この事から

変な男さん自身に
作品を作るということなどで
心境の変化などが
あったのですか??

少し気になったので
質問させて下さい(>_<)//


あと、正直もう少し
改行して下さった方が
読み手としては読みやすいし
それぞれの作品の
世界観に入り込めると
僕は、感じました(..)

長々とすいません
P06B
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