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[1] -HEISEI-2012/S
By S
03-16 05:07

僕は団地の子供で、
団地の敷地に併設された
公園に居る
ワインレッドの街並みに
夕焼けは染み
団地の屋上には
酷く日焼けした君が
湯気を上げて立っていた


砂場には南アルプスと大きな湖がある
雪の無い裸体の山岳地帯には二体の死体
僕は電線に着陸した鴉を警戒したけど
君は鳥葬を望むような眼差しで
死体を俯瞰した
そんな僕の君にとって
山の死体
あれこそが夢だったのを
君の独立した感性が否定した頃
僕はもう
天津神でしかないのかもしれない


時間が逆立ちし、
過去が空に向かって伸びる時代
未来が大地を
踏みにじる事になった事を
謝りたい
人生そのものが逆立ちした時
僕の君は産まれる前に戻って
僕は酷く年寄りになってしまったようだ


ブランコに人が乗らなくなってからの十年
フェンスの隙間から真っ黒な147cmの
未確認生命体の群衆の眼、
が怖い。
彼らから原子が奪ったものはきっと
母親だけではなく
過去でもなく
未来でもなく
現在だった
そう、語るように
年寄りの僕が
逆立ちで喘げば
僕の君は上の空で
詩を朗読する
そこで詩は、
壮大な便器だと知る
いいや
政治も学問も歌声もみんなみんな
便器なんだ
産まれる前の君が
見渡せる程壮大な便器なんだ
団地の公園は人生だ
そして決して子供を遊ばせない
147cmの影を僕は公園で殺し
人々は殺し
皆殺す


いつの日か
僕が逆立ちをやめるとき
きっと君は
産まれないまま
年寄りになるだろうという事が
今の僕には良く分かる
そんな平成時代に
乾杯!
930SC
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