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[1] Uterus/変態ピエロ
By 変態ピエロ
07-20 16:50
初夏の漣に揺れる陽炎が
庭先で炎を纏っている。
その炎が空に吹き上がると、
夕焼けは更に焼かれていく。
すると大空に散らばる
疎らな雲は溶けて霰となる
降り注ぐ
屋根に鈍い音を立てながら
ぶつかってくる。
茜色に支配された 街並みが、 生臭い雲に覆われてゆく。
五線譜が濁音に埋まる街。
縁側に座る私の顔に掛かる
白いマシュマロ。
辺り一面が私と同様汚れている。 (汚れている?)
近所の農夫達は皆、 外に出て困ったように
何やら話をしている ように見える。
農作物は恐らくもう駄目だ。
なんて会話かもしれない。
陽炎は相変わらず炎上している。
軈て玄関から 扉の開く音が聞こえてくる
誰も帰って来る予定はない。 何年もその予定はない。
私さえもう帰る事はない
玄関に行くと 古い上がり框に濡れた足跡が ついている。
(玄関は開いたままだ)
だが、家の中には人の気配はない
玄関の外から足跡が続いているが、 此方から帰った形跡もない。
最早消え去ってしまったのだろうか。
新しい現象がまた一つ増えた。
或いは人ではない何かが やってきたのかもしれない。
玄関の向こう側では、 山々を燃やす黄金色の太陽が、
赤く腫れた唇を称えて 洪笑している。
より一層、情景は火傷していく。
灼熱に焼かれた灼熱によって、
地面の雲は更に溶けて 個体から液体となる。
屋根から白濁の液が、 滝のように流れる。
そして田畑や側溝に至るまで全てを、 蹂躙していく。
最早すべてが生臭い。
私は戸を閉める。
然し戸からも液は漏れてくる。
咄嗟に和室の真ん中に逃げ込む。
そこに草臥れた布団が敷いてある。
布団に入って身を隠す。
布団の隙間から様子を伺う。
すると床からも雲が溢れてくる。
(ぶくぶくと鈍い音がする)
熱い白濁液が私の肌を、 少しずつ溺れさせていくのが分かる。
閉めた戸が破壊され、 液体は布団ごと私に襲い掛かる。
天井まで水位があがり、 私は叩きつけられる。
真っ白な視界に 僅かに映る茜色の 街並みが、
農夫たちと一緒に 浚われていくのが見える。
暫くして、 私のすぐ隣に陽炎が流れ着く。
彼は私の眼前で、 真っ黒な歯を剥き出しにして、 にやける。
(生臭い)
そして私は結合する。
Android(SonySO-02F)
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