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[1] 住宅街のスポットライトの下で/変態ピエロ
By 変態ピエロ
12-04 00:24
深夜の住宅街の暗闇を照らす
整列した電灯を頼りに歩く
寒気が飛び交い冬は
全てを制圧して
至るところに侵食する
かなきり声を発しながら
僕の皮膚を荒らして
髪を蹴散らして
そうしてまた
似たような景色が
続いていく



君、という単語をもう
暫く使ってはいないと気付いたら
僕が一人だと気付いた
無垢なまま人を愛せたなら
あのままでいられただろうか
或いは僕は変わるべきだったのか
点滅する電灯の下で光の
シャワーを浴びて
海蛍のように明滅する体を
傍観する
そしてまた、
涙で流す蛍光が
側溝に消え去る


虚空に咲いたコスモスの群生が
種子を蒔いて
受精する僕らの瞳が映す
月暈の黄金を縁取る苔を
嘗める舌先に
君が苦い後味を残して
受胎した記憶
暖める事しか出来ずに
産まれない卵を
妊娠し続ける精巣が
ジェンダーの境界線さえ
破壊して
君はやはり女でしかないことを
知る
そして僕は人間になれないまま
時計を壊し
あの頃のまま停滞している


人生
その僅かな字数にきつく抱擁されて
呻く街角の下で
僕はその二文字を消そうとしたけれど
そのために翻弄された足元に
縺れて
人生に追い回される
騒がしい家庭や
社会的活動
思想
その全てが
消滅してくれたらと思う


人々の喉の栓を絞めてしまう法案を
通したら
世界は少しだけ静けさを
取り戻せるだろうか
言葉という呪詛を封じて
江戸のように鎖国すれば
もっと違う形で繋がる術を
得られるだろうか
建前とうわべだけの
魔法使いを殺せるだろうか
君に出会えるだろうか


どこまでも深い井戸の上から
見下げる空に叫び
木霊するオクターブの響きに
揺れる水面が
空から時雨となり
降り注ぐ
灌がれる僕の腮に
染み着く地球が
僕のたち位置を
教えてくれた
底に居たのはむしろ僕の方だった


そうして深夜の街に投げ売られて
街灯の
スポットライトを浴びながら
僕は人間に引きづり戻される
恥と淫乱を演じて

Android(SonySO-02F)
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