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[1] 或る夢の話/ハルカ
By ハルカ
01-14 00:56
或る所に村があった
その村に、或る男がいた
男は常々思っていた
年老いた母へのせめてもの孝行に
綺麗な花嫁を連れてきてやりたいと
自分がいかに幸せなのかを
世界がいかに優しいかを
母への感謝を
伝えたいと
数年後、男は結婚していた
子宝にも恵まれた
年老いた母は耄碌していたが
それでも孫を撫でては幸せだと呟いていた
男は思った
こんな何気無い風景が幸せなのだと
気の強い けれど優しい妻と
可愛い子らと
大切な母と
慎ましく温かな暮らしに男は感謝した
目が覚めた
暗い部屋はまだ夜が明けていないことを教えてくれた
年老いた女は思いを馳せた
国のためと出て行った一人息子に
あれから何年経っただろうか
年老いた女は夢を視る
夢を喰らって朝を迎える
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[2]
By ジョナサン
07-28 17:01
母親というのは、誰もが自分よりも子供を大切に思いますね。どんな形であれ幸せになってほしいというのは当然の想いです。
夢の中の息子もやはり幸せですが、あくまでも夢の主人公が息子というところに母親の愛情を感じさせます。ですが、最後まで読むとそこには途方もない悲しみが加わります。それはおそらく達成されない願いだからかもしれません。
夢から覚めた母親は息子に思いを馳せます。
国のためというのはもしかしたら戦争かもしれないし、政治家になるためかもしれない。
なんとなく、もう帰ってくることはない印象があります。
最後の連で年老いた女が夢を「視る」表現されています。「見る」ではありません。
「見る」というのは目以外にもなんとなく心が乗っかる響きがありますが、「視る」というとどこか淡白な視覚のみを使うような印象があります。
ですから、息子を失った(あるいは離れていった)母親が、幸せになる息子の夢を「視る」というのは、これまで散々悲しみに暮れたであろう彼女の諦めのような悟りのようなものを感じて作品に深みが出ています。
この詩は、年老いた母親の悲しみが痛いほど想像でき、まだ親孝行をできていない自分には深く心に残る作品になりました。
素晴らしい感性を感じますので、磨けば広く読まれるものになるのではと思います。
少し偏った感情で読んでしまったので、もし解釈が違ったらすみません!
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