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[1] 夏の風景/変態ピエロ
By 変態ピエロ
07-29 13:17
田畑に囲まれた二車線の道路を走行する萎れた車の、
後部座席に座ってただ景色をぼんやりと見つめる。
肘をついて掌で顔を支える反重力的作用、
窓辺には無表情の侘しい顔が上映される。
辺りにはポツリと佇む二階家と、
寂しげに光るエネルギーの排出される様が
見てとれ、
それは夜闇に沈む星星を明滅させてるようにも
思え、
然しそれは、
僕達の体から光を奪って吸い上げていくようでもある。
エンジンの回転音に巻き込まれた鈴虫の和音が、
反対側の開け放たれた窓から聴こえる。
cdよりも安価で、無料、その上ずっとライブという
豪勢な内容。
一方で、鈴虫がなぜ鳴くのかを考えていたのに、
なぜ人間が鳴くのかが分からなかった。
通常、生物は、雌雄を誘き寄せたり、
敵を威嚇したり、
つまりは、自己防衛や子孫を残すために鳴くのだろう。
だけど人間は自分の悲しみや憎しみ、喜び、
自己顕示欲、理解のために鳴いたりもする。
結局おつりを求めている。タダじゃない。
そんなものに、いかほどの価値があろうか。
鈴虫のように、ただ聴かせる鳴き声を、
僕らは無価値にして、
楽譜に閉じた。
それが頭蓋の中で暴れ、
涙と声で溢れては水滴に変容する。
軈て、信号機で停車する車。
赤色のライトが、僕らと対向車に、にらみ合いをさせる。
対極的に、青信号の歩道には誰も居らず、
僕はそこに逃げたくなる。
誰もいない場所は平和であり、
唯一の安らかな死である。
僕は耳を捨てたいし、
僕は目を閉じたい。
例えばあなたを愛したり、
幸せになりたいための、
競争という闘争に身を置くのはもううんざりだ。
そのためのツールである会社や、学校は、
兵士養成所のようであるし、戦場のようでもあり、
とても血生臭く思える。
そして、信号機は有無を言わさず青となる。
騎馬が動く。
そして、左に曲がる。
Android(SonySO-02F)
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