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[1] 「vitality/カナブン」
By 桂
11-27 09:29
「vitality/カナブン」
高層ビルの屋上
この世とあの世の境目に放り出した片足
目を閉じ 胸に手を当てて 聞く最後の独奏
目を開けると 美しく没する夕日
カサカサと音がして視線を下に逸らすと
この世に残した片足の横で見苦しく足をバタつかせる
胴が半分に割れたカナブン
雄々しい演説家ように激しい身振りで何かを伝えようとする彼の一挙一足に目を奪われる
ひっくり返って 顔色一つ変えない空を説得しようと 懸命に振るっていた彼の長い手足がラストに向かって加速して行く

やがて
雄弁な演説家は歯切れのよい台詞の後 永遠に続く 句読点を置くと
満足した顔で舞台を後にした
片足をこの世に戻し 濡れた顔を上に向ける
相変わらず顔色一つ変えない空が
何食わぬ顔で僕を見下ろしている
クソッタレ
激しい苛立ちの後 訪れた喉の渇き
満たすために鷲掴みした
キャップのなくなったペットボトル
中身を一滴残らず飲み干して
再開する命のディベート

Android
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[3] By 桂
11-28 17:46
変態ピエロさん。しっかり読んでいただいてありがとうございます。この作品はバイタリティー、生命力をテーマに書かせてもらいました。これから飛び降り自殺しようとする少年の横で今にも死にそうなカナブンが必死に生きようとする。対象的な登場人物を使って、生きることの見苦しさと美しさを描がいて見ました。
句読点くだりはカナブンの死を意味しています。
体を使って目一杯まだ生きているんだと表現していたカナブンがついに死んで黙ってしまう。
そしてそれを見た少年は、一つの命が消えたのにもかかわらず変わらず回る世界に怒りを覚えます。
そして彼はあのカナブンのように自分も自身の命を主張するように生きることを決意する。
そんな詩です。

Android
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[2] By 変態ピエロ
11-28 12:28
>>1

この世とあの世の境界線をビルを挟んで片足と片足で置くことで、右と左に分けられた生と死の境をより明確に読者に認識させていると思いました。その後のカナブンの描写もいいですね。胴体が半分という連は、恐らく半分の死と半分の生を意味していて、ここは最初のこの世あの世の対比と重なっているようで面白かったです。それは、もしかしたら登場人物の内面のあらわれなのかもしれません。

またカナブンがもがく様を演説家、などのように独特な視点から描写していて、こういった比喩はうまいなと素直に思いました。

永遠の句読点の連は、言語でなくなぜ句読点なのか考えさせられました。恐らくカナブンは、空を説得しているという描写から生に執着していた、あるいは何か自身の痕跡を残したいともがいていたのかもしれません。もしかしたら句読点は、カナブンが残したものではなく、登場人物が見た、永遠に得られない生と死についての答えのようなものだったのかもしれませんね。ここでカナブンはやはり登場人物そのもであろうかと考えました。

長く的はずれな感想となりすいません。
しかしそれだけに色々と考察の選択肢の多い作品だと思いました。

失礼しました。
Android(SonySO-02F)
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