返信する
[スレッド一覧へ]
[1] ころしあい/PIERROT
By PIERROT
02-10 15:49



排水溝へと吸い込まれる
皮膚組織の残滓が
溝蓋に
切り刻まれ
刹那 溝の幾何学模様を象っては
けむりの輪のように解れて
垢の蔓延る 天国へと露消していく
遺伝子にとってそれは安堵となり
破壊にとっては再生となる
そして再生は 歪な煩悶へと連鎖し
反復される 情報が
硝子越しの人影で
羽根を休める

ミンチになったシャワーの、
酷く空無な味は
やがて 酸味のある雨に変わって
腐乱する墓碑に
降りやまない

角度のない雨音と角度のある足音がする
横断歩道には 欠落した僕と
乱反射するマシンガンのような雨粒
ひたすらに点滅する信号機の向こう側には
朱色の日本傘がカシミアの残り香を纏ったまま
打ち捨てられている
そしてそれは かとんぼのように
蹴られて 転がって
車にひかれ 轢死してしまう

そうしてできた なまものの カルデラも
泳ぐ 骨と肉 浮かぶ 君も僕も
つまりは 一つの生物であり
そこには当然
セックスがあって

生臭い
世界では きっと
君は傘を持たずに
ジョーロを傾けているのだろう
死という生
生という死
どちらも現を抜かした
泡の円形図にすぎない

そして
白い紫陽花がひとさし
額に刺さる
水差しと脳ついは時に
雨とおなじ ぬくもりになり
静寂と轟音は
同時に静止することができる

ひととはなにか それはひとが決めた
はじめの決まりごとにすぎないから

人はときおり サルになりたいときがあるんだよ
やりたいだけやり
世界の事などどうでもよく
晩飯のことだけを腹で考えるような
サルに
深刻な上っ面か真面目な深刻か
いずれにせよ
時間差で死ぬだけという
妙な決まりごとがあるから
地球という場所に
人というなにものかの歴史に
残りたいという欲で
これほどまでにあらゆる
病理を黙殺して

僕は生きている
寺院と神社の中間点で
君が優しい手を額に当て
枕元で 看病をしてくれている

ー優しいその手はカシミアの匂いがする

偽善者にもなれずに無視してきた
歴史という写本と現状との狭間で
君のその手はより僕を痛め付けるというのに
それは暖かい
君も僕と同じ
残酷さを孕んでいるのというのに
暖かいのはなぜなのだろう

ー生きている

妊娠線に子宮が浮き出ている
そこで育まれた 線虫が 爪を立てて
腹をずたずたに裂こうとする様が
よく反映されている 街並みを

才能やらなにやらと言われたくて
歩き回るのがウザいと、うんざりだと
君は言う
飢え死にした幼児や
黒焦げの老女の惨殺死体が
インターネットやテレビを凍結させている頃
居酒屋では魚の丸焼きが850円で火葬され
ペン先はオナホールになって 黒い汁を垂ら、



なにも 語られるべきじゃなかったのだ
そして なにも知られるべきじゃなかった
誰も彼もが 無知であればよかった
ひとりならよかった
それがたとえ 死を孕んでいたとしても

僕らは団地の6階の部屋で
PS4のコントーラーを握っていて
外からは隣室の主婦が野菜を炒める音
子供が外の駐車場で
ボールをコンクリにうちつける音がする
(それは生かすために傾けたジョーロの雨
夕焼けが 近くの火葬場の、
けむりを 優しい悲しみで殴り付け
(それは殺すための行為でもある
ひどく 鋭利であたたかい生活が
僕たちには いつも漂っている

そうさ 神でさえ 猿だよ
いや 猿でさえ 神だ
なら 君は誰だ ?
もう 話さなくてもいいよ

それらの羅列が いまを こうも 暈していく
だから 静寂しか もう
世界は 生かせない

殺せ
殺し尽くすがいいさ
生きるために 死に
死ぬために 生きる
僕らの ちっぽけな ひとにぎりのあいで

Android(SonySO-02F)
[編集] [返信]
[*前][次#]
返信する
[スレッド一覧へ]
ボイストレーニング法


[掲示板ナビ]
☆無料で作成☆
[HP|ブログ|掲示板]
[簡単着せ替えHP]