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[1] 私は私であるという世界/PIERROT
By PIERROT
02-16 04:32
私は私であるという世界
世界は世界であるという私に齟齬などないように
目眩ましのためだけの 経済活動と神話があった
かつて神々が人々の救いの糧であった時代と
かつてを埋め込めるための 墓場へと
山手線の窓越しから青ざめた 人間に似た人間たちが
祈るように祈りだす時代
そこにも 齟齬など ありはしないのだ
集団感染していく 禍々しい 臍の緒が
弱々しくひきつった 大都会と歪むアルゴリズムとを
時代から時代へと引き継がれ元号やらと呼ばれるためだけの
楔として胎児へと結びつけさせ
神様神様と 神様を利用して
誰かを利用するかのような狡い言い訳など
私たちはけして聞きたくはなかった
組成式が一つだけ抜け落ちた鉱物と変わらないさ
人々が八月に送られたまま 帰れないように
迎え火だけがひたすらにくべられて
富士の稜線へと落ちる 祖先たちの流星が
願いを受容しきれずに 言の葉だけを白煙と共に
夕闇の空へと嘔吐し
願いは憎悪に 憎悪は信仰へと突き刺さる
信仰は即ち 誰も信じられない人たちのための代償で
神々は彼らの代わりに償うため祀られる
だから私たちは祟られあって 泣いて 喚いて
抜け落ちてゆけるのだ 変わらないさ
なにひとつとして 時だけが 変われないまま
ただ記号として漂っている
灯籠はデッドストックされた手の内から放たれ
ひかりだけが水中花を淡く照らし出す
月輪の鋭い熱線に汗ばむ 蛍が
集う浴衣姿の人々の間隙をすり抜けて
その軌道を辿る はぐれた子供たちの指先
蛍は落ちる
川面の波紋と共に逃げ去るひかり
それを懸命に追う子らの指に教唆する親ではない闇
追うべきなのは 時代でもひかりでもなかった
自分自身に化け 演者となった
たった一つの言い訳だったのかもしれない
私が私であるという世界
世界が世界であるという私
そのどちらにだって
暴力的な思想の行使が内在し
その暴力が人々を突き動かす
その原理が世界を唆す
信仰を口実に 正義を理由に閉ざされ完成された人間兵器
私という固有名詞
いっそ私は私でなくなっても 世界は世界でなくなってもいい
そんな私にはなりたくないという私
そんな世界にはなりたくないという世界で
死に絶えればいいのだ
Android(SonySO-02F)
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