星の燈歌
ほしになった、ほしのはなし
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いつかの頃、そっ…と、あったお話。
小さくても、きらきらしたお話。
天の星の側を、ひとつの旅の命が通りました。
天の星は、とても遠い場所に在ります。旅の命は、今まで振り返った事はありませんでしたが、ふと、後ろを振り返りました。
今まで歩いてきた道のりは長く、遠く、そして、侘しいものでした。
総てを捨てた訳ではないけれど。
置いてきたものは、確かに大切なものだったから。
…ちょっとだけ、
…ちょっとだけ。
泣きたくなる。
『旅の命さん、こんにちは。それとも、こんばんわかな?』
旅の命は声の方へと、向き直りました。
天の星は、目を細めながら、旅の命を見つめました。
『ここは遠いからね。明かりがここまで、来ないんだ。…ここまで、どうして、ここまできたの。』
旅の命は、この先に、逢いたい声が続いている事を、話しました。
天の星は、目をまんまるにして、旅の命に尋ねます。
『でも、この先の星は、もう随分前だけど、逢いに来た命がいたよ?君もそうなの?』
旅の命は首を振りました。
「ううん。きっと、もっと、もっとこの先…。そこにいる。」
旅の命は、星の地図を握りしめました。
旅の命の様子を見た天の星は、自分の先にある、星の方へ、目をやりました。
この先にある星は、ひとつだけ。
もうひとつだけのはず。
その先に、いるんだろうか。
この命にただひとつの。
天の星は、地図を握りしめたまま俯いている旅の命に、向き直りました。
『…ねぇ、旅の命さん』
旅の命は、天の星を見上げました。
『早く逢いに行ってあげて。…きっと、淋しいはずだから。』
天の星は、空のカケラを旅の命に持たせました。
『空はホントはまっくろなんだ。この闇夜のようにね。』
天の星はカケラを指します。
『でも、明かりに照らされて、その星の持つ空(から)の色に染まるんだ。』
それが、空。
声の主に、渡してね。
天の星は、旅の命を、送り出しました。
旅の命は、今は遠い空を想いながら、歩きだしました。
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いつの頃か、消えてしまったお話。
今もきっと、きらきらしたお話。
海の星の側を、旅の命が通りすがりました。
今は遥か遠くにある、大地の星にもらった星の地図に載っているのは、ここまでです。
これから先の闇夜は、自分だけで歩いて行かなければなりません。
旅の命の足が、すくみました。
それを見かねた海の星が、声をかけました。
『そこで立ち竦んだって、なにも変わらないよ。』
旅の命が、弾かれる様に声の主である、海の星を見上げました。
海の星は、旅の命に告げます。
『その星の地図に、私の名を書き加えたのは、私に最初に逢いに来た、私の友。…今は、ソレを頼りに、時折、誰かが訪ねて来るがね。』
旅の命は、闇夜に視線をやりました。
海の星は、尚も告げます。
『私の友も、君と同じだたよ。天の星から先はまっくらな暗闇なのに。
…闇夜を渡って、私の元へやって来た。私を見つける為だけに、来たんだよ。』
闇夜から、旅の命だけに聴こえる声が響きます。
【逢いたいの。此処に居るよ】、と。
海の星は、語りかけます。
『なぁ、旅の命。他の星も、皆そうなのだ。大地の星から旅立った数多の命が、見つけてくれたんだ。』
だから、君も見つけてやっておくれ。
旅の命は、星の地図をしまい込むと、海の星を見つめました。
海の星は、なにもない闇夜を歩いて行くヒントを出しました。
『迷ったら、大地の星の贈り物と、大地の星の妹君を、思いだしたらいい。』
大地の星の妹君とは、昼間、明かりに照らされて空に染まったとしても、その先に在る、妹君です。
海の星は、訳が解らずにポカンとしている旅の命にいたずらっぽく笑うと、背中を押しました。
『長く、遠く、果てしない道のりだ。でも、必ずたどり着ついてくれよ!』
旅の命は、一度だけ、振り返り、頷いたあと、走り出しました。
自分の時のように。
必ずたどり着くものが居ることを、海の星達は知っています。
…ほら。
また誰かが。
友の遺した道標にのって。
逢いにきたのか。
この先に行くのか。
この先の星にも、友が訪れますように。
海の星は、遠い、大地の星に、願いました。
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【閑話】
旅の命の、はじまりのお話。
旅の命が、旅にでたいと思う前。
命は、自分だけに聴こえる声に、悩んでいました。
ある日も、泣きながら、悩んでいました。
命が泣いていると、白い妹君が、声をかけました。
白い妹君は、夜空に浮かぶ、大地の星の妹です。
『どうして、泣いているの?』
白い妹君は、首を傾げて聞きました。
命は、涙を流しながら、答えました。
「僕にしか聴こえない声が、聴こえるんです。
でも、誰も解ってくれなくて、それが、悲しい。」
白い妹君は、嬉しそうに、答えました。
『それは当たり前よ。』
命は、白い妹君を見上げました。
『だって、あなたにしか聴こえない声があるように、皆にも、それぞれにしか聴こえない声があるのよ?』
命の瞳はまんまるです。
白い妹君は、命を撫でながら、聞きました。
『あなたはどこから声が、聴こえるの?』
命は、首を傾げました。
白い妹君はにんまり笑い、くるりと廻ると、命に告げました。
『胸の中からなら、あなたが【なりたい】もの。−つまりは【夢】。』
命の胸を指さしたあと、掌でおさえました。
掌を離した白い妹君はまたくるりと廻り、命に告げます。
『方角からなら、【見つけたい】もの。−つまりは、自分以外の、何か。』
白い妹君は先ほどように告げながら胸を指さし、掌で胸を押さえたあと、北、南、東、西。
順番に指さし、最後に空を指さしました。
命を向いた白い妹君は、またにんまりと笑みを浮かべ、命に聞きました。
『あなたは、どっち?』
命は、まっすぐ白い妹君を見つめて、口を開きました。
《−僕は−…》
ハッと目覚めた時、命は独りでした。
−あぁ、…夢か。
白い妹君は、自分だけの声が内側からなら【叶えたい夢】であり、旅しながら見つける星は、【夢】なのだと、言いました。
【大切なものを見つけたい】から、闇夜を旅するのだと。
だけども、それが、自分の心の夜空か、そうでないかの違いだと、言いました。
目に見えるか、見えないか
それだけの違いだが、それだけ違うんだと。
どちらも、心が辿るものは、同じようで、違う。
くじけた時こそ、心は真価を発揮するし、深くなるんじゃない?
とにんまり笑いました。
旅の命の旅は、まだまだ続きます。
闇夜も大分進みました。
まだ見えないし、逢えていない。
でも、白い妹君は、きっと怒らないでしょう。
目指したものと違っても、それもいいと、送り出したから。
旅の命は、また、闇夜の声の方角に、歩き出しました。
拝啓
白い妹君。
僕は、きっと、逢えるでしょう。
それが、目指したものなのか、そうでないかは、解らないけれど。
声の主のかの人と。
いつかあなたに逢いたいです。
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遠い、遠い暗闇に、泣いている星がおりました。
小さな星がちらちらと輝く闇夜に、ぽつんと独りで泣いておりました。
いつの頃か。
ひとりぼっちの星は、泣き声を聞いた声が返ってくるのを聞きました。
声の主は、必ず会いに行く、と言ってくれました。
けれども 待てど暮らせど、声の主が訪れる事はありませんでした。
それからも、幾人か、声を聞き、会いに行くと答えてくれた声はありましたが、やはり、訪れてるくれる事は、ありませんでした。
ひとりぼっちの星は、その日も、泣いておりました。
ふと、ひとりぼっちの星は、目の前がポッ…と明るい事に気づきました。
顔をあげるとそこには、くたびれたランプをさげた、ボロボロの外套に、擦り切れた靴を履いた人が、立っていました。
照れながら笑うその人は、控えめな声で
「お待たせして、ごめんなさい。」
と、ひとりぼっちの星を、抱きしめました。
ひとりぼっちの星は、旅する命に、ぼろぼろと涙を流した後、一番の笑顔で、
『見つけてくれて、ありがとう』
ずっと、ずっと。
君達を、待ってたの。
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後書きという名の言い訳
書き始めてから丸1年と一ヶ月。
構想をプロットにして、絵本仕様の仕立てに四苦八苦しながらしたんですが。
…そしたら、訳の解らない代物になりました。
ほしの燈歌の【星】は、夜空の星です。
旅の命が探して最終的にたどり着いたのは、【冥王星】です。
ので、最後だけ、旅の命さんの視点ではなく、冥王星の視点。
冥王星は1916年に存在が予想され、1930年に発見された比較的、新しく発見された星です。
2006年に、太陽系からはずされ、太陽系の外縁とされ、【準惑星】と区分されます。
冥王星型外縁系の惑星では発見第一号です。
それを私が書いたらなんだか訳わからない駄文に。
…フィーリングでなんとか!っていう限度を越えとります。
うまく書けたのは土の星のお話だけです。
元は作文用紙10P〜20Pの話ですからね…。
当たり前ですね。
プロの作家さんは偉大です!
星を夢に例えた話でもあるので、閑話で、白い妹君(お月様)に補足してもらいました。
(白い妹君は小悪魔さんなイメージです。チシャ猫みたいな。)
【学校】も、そう。
私達は、当たり前に通ってる【学校】も、元は誰かの【夢】で、目指した【星】なんですよね。
そこらへんを、ちょっとだけ、海の星に言ってもらいました。
いちお、絵本みたいな感じなので、イメージボード(クロッキーに描きなぐり【アナログ】)ノートパソコンさんに、挿絵(OpenCampus(試用版)、SAI(試用版)、IllustStudioで描きなぐり【デジタル】)の様なモノが入ってます。
いまんとこ、デジタル画材はイラスタしか既製品ないのが悲しいとこです。
(たっかいんです。ソフトが…。)
星の燈歌もこれにておしまい。
遠く、遠く離れても、いつか大切な誰かと逢えるよ。
そんなお話でした。
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└宛名のないメールは小瓶に手紙を入れて海に流すような場所です。
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