投稿日11/21 20:37

「電気羊の夢なんて見ない」
レグルス

夢について書こう。胸いっぱいに希望を持って突き進む方の夢ではなく、眠るときに見る方の夢である。

大抵の夢はすぐに忘れてしまうことが多いが、記憶に残って何年経っても忘れられないものもある。印象に残った夢は内容を書き残しているので、そのせいもあるのかもしれない。

最近印象に残った夢がある。自分が死んだ夢だ。死ぬ夢ではなく、死んだ夢。死んでいる夢と言った方が正しいだろうか。僕はあの夢の中で死んでいた。

真っ暗な闇の中にいた。目を開けているのか閉じているのかも分からなかった。まあ、実際は寝ているので目は閉じているのだが。夢の中ではその判断ができなかった。

僕は自分が死んだことを悟った。何を根拠にそう思ったのかは謎だったが、漠然とそう感じた。幽霊になることもなく、肉体だけが存在していた。息苦しく、呼吸が荒い。身動きもできない。思考することだけが許されていた。

死ぬというのはこんな感じなのか、と何故か冷静にそんなことを思っていた。とりあえず自分の意識があることにほっとしていた。意識も何もない全くの「無」ではなくて安心したのだと思う。

周囲には人の気配があった。ただ目も見えず耳も聴こえないため、確認するのは不可能だった。考えることしかできない肉体で一体何ができるのだろう。恐怖感や虚無感がない交ぜになった気持ちでいると、ふいに目を覚ました。自分が死んでいないという事実に酷く安堵した。しばらくは布団の上で、夢の中のように荒く呼吸をしていた。

本当に死んだときもこの夢のようだったら、僕は嫌だ。思考ができるだけでもありがたいのかもしれないが、もっと動き回りたい。幽霊になって飛び回りたい。死んでからも肉体に閉じ込められたままでは面白くない。しかも肉体に意識が宿っているのであれば、火葬されたときにあの意識はどうなってしまうのだろうか。意識も煙のように消えてしまうのではないのか。二度も死を経験してしまうようで、怖いのだ。


麻薬中毒の少女にキスを迫られる夢のことも書こうと思ったのですが、長くなったので割愛します。ありがとうございました。



2012.11.21 レグルス

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