投稿日07/12 11:11

「☆命を、造り出す☆」
鈴木 琴実

 やはり、もう何度も経験しているからなのか『感動』だとか『感慨』なんてものは、絶無。

 数分置きにやってくるその、お腹だけではない、体の奥底から全身に広がるような激痛の波に撃たれ悶えながら

 頭の芯は冷静に、とにかく無事に出て来いとだけ必死に、祈る。

『私も頑張るから、あなたも頑張るのよ。』って。

 そしてまず産声を聞いてちょっと安堵し、5本指の両手足と頭と胴体がある事を確認して、

『はい。大仕事をひとつ終えました。』
と、大きく息を吐く。

 縁があって“親”と“子”という立場でこの世で巡り会ったあなたと私。現世でそういう運命になった私達。

 あなただって、こんな親だと知っていれば私の元になんぞ生まれて来なかったのでしょう。同じく私だって、あなたを選んだ訳じゃない。


シダが胞子嚢を作るように…

ネズミがネズミ算式に増えるように…

ゴキブリが交尾するように…

雌の隙を狙って背後からコッソリ交尾をした雄蜘蛛が、交尾が終わるや否や雌蜘蛛に食べられてしまうように…

 血生臭いドロドロとした自然の本能のままにセックスをして、自然の摂理で受胎をしただけ。

良い親になるだとか
良い子に育てるだとか
愛の結晶だとか
何億分の1の奇跡だとか

そんな馬鹿げた綺麗事なんか、あるわけがない。


『生まれてきたのには意味があるからだ』だとか
『愛せもしないくせに子供なんか作るな』だとか
『人は奇跡で生まれてきた』だとか

 おぃおぃ、人間って一体いつからそんな“人間様”になったんだい?そんなに思い上がるなよ。ちゃんちゃら可笑しい。









でも。

シルクの肌。
天鵞絨(ビロード)の髪。
ルビーの唇。
ふくよかで芳しい生命の香り。

当に、神品。

真新しい命って、なんてこんなに素晴らしく美しいのだろう!





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