輪くぐり
まっしろい石鹸で
空を一掃したあとに、わたし
いとしい人をうしなった
レースのカーテンが
ふわりとわらって
美しかった
＊
屋根のふちに座って足を
ぶらん、と
垂らしたらつまさき
あんまりに滴って
しまいそう、だった
忘れられたことを少しずつ
思いだしてしまうから
夕方はかなしい、
葉と
葉をむすぶ
蜘蛛の糸がひかる
＊
豆電球だけともした
部屋のなか
散らかったぬいぐるみや
画用紙やクレヨン、
てきとうに段ボール箱に詰めて
明日、海にうかべたい
くろい服で
姿のみえなくなるまで
手をふる、手を
ふるからね
＊
いとしい人をうしなった朝に
わたしたち
ひとしくひとりで
決して、ひとりだなんて
思いもしなかった
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はなのかんむり
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