Reincarnation



孤島のようにぽつんと
うずくまる港は
そろそろ瓦斯灯の蒼白く灯り
汐を冷たくしている
子どものわすれた片方だけのサンダルが
あしたの雨を知らせている

ふと、最終フェリーの汽笛が鳴り響いた
わたしのちいさな心臓をも
揺らして、遠くまで
心臓を揺らして、響く
反響し返ってくるまでのあいだを
高揚して待つ
目をつむり待つ
何がそんなにかなしいのか、と
詩人は云う

冬になれば彼らは
脂肪の代わりにくらやみを含み
夜とひとしくなってゆく
声と水だけを循環させて生きるのだ、と
差しだした林檎を丁寧にことわる

ことわられた林檎を
わたしは食む
そうして、あらわれた未熟な
白い果実は
あしたの雨を、知らない



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はなのかんむり






















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